HISASHI is HISASHI……ジャンルを超越した奇跡の歌声は、一般的にはまだ知る人ぞ知る。
しかし、そのワン・アンド・オンリーなボーカル・スタイルがミュージシャン仲間から絶賛されていて、多数のファンがいるボーカリストのHISASHI。
その彼がホストとなって、音楽仲間と親しい友人たちをゲストに招いてのトーキング・セッション。
第1回目のゲストは、ロック・キーボード界にその名をとどろかす名キーボーディスト
小川文明氏だ。
今回のチャリティー・コンサートは、
音楽でのシンパシーとマーシーという2つの意味があると思う
(HISASHI)
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HISASHI「HISASHIといっても"誰?"っていう人もいるかもしれないけど、とりあず"HISASHIの部屋"にようこそ(笑)」
小川「ああ、どうも。おじゃまします(笑)」
HISASHI「栄えある第1回目のゲストは、小川文明大先生に来て頂きましたが……」
小川「よろしくお願いします……て、こうやって真面目な話をするのもねぇ、どうかと思うんだけど(笑)」
HISASHI「まあ、来月5月4日に、僕らは
「"Music Gift"「音楽夢箱」Live〜みんなの『One』が集まれば〜」という チャリティー・コンサートに参加するんだけど、一緒に出ることになったのはホントに偶然なんだよね」
小川「そうだよね。出演の話はべつべつの所から来たからね」
HISASHI「僕はピアノを弾いてくれるのが文明ちゃんだっていうので、非常に心強く思っているし、楽しみにしてますよ。ところで、文明ちゃんは今までになにかチャリティーってやったことある?」
小川「俺は、平松愛里ちゃんが神戸出身で、毎年震災の日に神戸にライブハウスでチャリティー・ライブやっているやけど、それに何年か続けて参加してたね。それくらいかな。それは、東京に出て来た関西ミュージシャンが神戸に集まってやろう!という趣旨のチャリティーだったんだけど」
HISASHI「それはすごくパーソナルな関係で、ってことだものね」
小川「そうだね」
HISASHI「だから、今回のチャリティーもHISASHI的にはすごくフレンドリーな関係で受けたんだけどね。だけど、いまチャリティーって多いよね」
小川「そうね。ミュージシャンって、"なにかしたいなぁー"と思っていても、偽善的なことが嫌いな人が多いじゃない」
HISASHI「そうそう。なにかちょっと斜に構えていたりね……」
小川「家では「ドラえもん基金」とかやってるくせに、災害地に出かけて行って炊き出しをやるとかいったら、なんか偽善に思えてできないとかね」
HISASHI「そう、そう。僕もそうなのよ」
小川「でも、演奏することだったらね。それはもういくらでもね」
HISASHI「ボランティア活動とか見てて、もちろん"ワァー、すごいなぁ"とか思うんだけどね」
小川「そうなんだよね。すごいとは思うんだけど……」
HISASHI「それでさ、チャリティーも団体とかによっていろいろな政治色もあるじゃない。だから、そういうこともあって僕なんかはいままではそういう話があっても、1回引き受けると次ぎになにかの事情で断らなきゃならない時に、"どうしてあっちは引き受けて、こっちは引き受けない"みたいな、そういうしがらみが出てくるでしょ。チャリティーという名のもとに、みんななにかイーブンなものを求めたがるけど、でも実際にはイーブンではないものもあるじゃない」
小川「ホンマ、そうだよね」
HISASHI「でも、今回はほんとに友だち的なつながりから来た話だから、"純然と音楽を楽しもう!"みたいな気持ちで引き受けたんだけどね。もともとチャリティーってキリスト教の言葉なんでしょ」
小川「そうなの?」
HISASHI「チャリティー(Charity)って辞書で、"キリスト教的慈愛、同胞愛、博愛"みたいなことが書いてあるからね。だから、今回のチャリティーって2つの意味があると思うのね。音楽からの直接的な癒しとか同志に対してのシンパシーっていうのと、キリスト教的にいうマーシーだよね。つまり施しということ。もちろん施しといってもべつに、その人たちの上に立っている意識はないんだけどね。それで、もちろん音楽としてはシンパシー……精神的な部分で癒してもあげられると思うんだけど、僕らはただ純然と音楽を楽しんで、それによって生まれる人の輪であったり、また現金価値であるとか……そういうことがなにか別の意味で物理的に役立てばいいかなとも思うのね」
小川「そうだね」
HISASHI「だから、直接人の心を癒すのは音楽だけど、最終的に音楽によって生まれてきた副産物みたいなもの……」
小川「だいたい、"癒し系の音楽"とかいうけど、俺はその"癒し"という言葉自体があまり好きじゃない……」
HISASHI「ウン、わかる!(笑) そういうコンサート多いよね」
小川「"癒し系"とか"ヒーリング"とか、結果論だものね。まず"癒し"って書いてあると、"癒し"を押し売りされているような気分になるんだよね。それで、だいたいいまだにジョージ・ウィンストンみたいなピアノ弾くんだよね(笑)」
HISASHI「そうそう(笑)。ところで、最近読んだ記事ですごくビックリしたのは、マリリン・マンソンがいますごく積極的にチャリティーに参加しているって……マリリン・マンソンってさ、あのコロンバイン高校の銃乱射事件の時に、銃撃した少年たちが犯行時に聴いていた音楽じゃない。彼らはマリリン・マンソンを聴きながら人を撃っていたんだっていうけど、そのマリリン・マンソンがあのメイクしてるかどうかわからないけど、いまチャリティーに力を入れているってねえ……彼がチャリティーやっているところを見てみたいよね」
小川「でも真面目な人っぽいよね」
HISASHI「実はそうなのかなぁ?」
小川「Rollyとか一緒の気がする。すごい着飾って変装しちゃうぐらいの人って、すごい真面目な人多いよ。変装すると、その時の自分になるんだよね」
HISASHI「僕はどうよ? 不真面目かな?」
小川「いや、いや、いや、いや。すごいグルービーじゃないですか(笑)。ユー、ゴキゲンだね(笑)……ですよ」
戦争の前と戦争が始まった後では同じ「イマジン」でも、
演奏している自分の意識がんぜん違ったんだよね
(小川)
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小川「でさ、やっぱ発起人である(山本)一誓クンと(上新)功祐クンが神戸で被災しているからね。俺は関西やから、やっぱり神戸震災の時すごいリアルやったもの。でもスマトラ沖とかは、あまりリアルに感じられなかったりして……神戸地震から10年たって、そんな自分自身に対して"ちょっとガッカリやな"と思っていたんで、今回参加できるのは自分にとってとてもいいかなと思っているのね」
HISASHI「個人個人のそういう気持ちから参加するのが、本当の意味でのチャリティーだものね」
小川「でもやっぱり、音楽をやって、それを聴いてもらって、それぞれの人のパワーになれればいちばんいいよね。"みさなん、これから癒してあげますよー"っていうんじゃなくてね(笑)」
HISASHI「だから、僕は今回"やっぱり音楽でしかそういうことに参加できないんだなぁー"と改めて思ったよね。最近東京も地震多いしね」
小川「さっきも言ったけど、チャリティーやるとかボランティアやるとかいうとちょっと偽善な感じがして腰が引けるんだけど、俺は音楽やることに対しては、なんかほんとにバカな平和主義者になれるんだよね。だから、イラク戦争が始まった時って、俺は某新聞社主催のコンサートで回っていたのね。それで、ちょうど戦争が始まる3日前にコンサートで、戦争が始まった3日後にまたコンサートやって。でも、戦争の3日前にやった「イマジン」と、3日後にやった「イマジン」とでは演奏している自分の意識がぜんぜん違ったんだよね」
HISASHI「戦争前と開戦後では、どう違ったの?」
小川「そうね。実際に戦争が起こってしまうと「イマジン」の歌詞が心に切々と訴えてくるし、もしかしたら俺はバカな平和主義者なのかな?とも思うんだけど、そういうことをストレートに表現していかないとぜったいにダメだな、と思ったわけ。だから、戦争を政治的な部分で語る人もいるけど、もっとシンプルな部分で"そんなの単なる人殺しじゃん。戦争だからって人殺すのほめられるかよ!"ぐらいのレベルでね。それを音楽で表現したかったんだよね。だから地震でも、まあ人災と天災は違うけど、けっきょく人間が悲惨な目に遭っているのは同じだからね」
HISASHI「そうだよね。音楽っていうものを、まあチャリティーにしてもなんにしても、興行的にいろいろと利用してくれる人がいて、それはそれでいいと思うんだけど、でもミュージシャン自身はそういう興行的なことにはあまり関係ないものね」
小川「そうなんだよね。いろいろしてあげたい気持ちはすっごくあるんだけど、でも俺らできることは音楽しかないですからって(笑)」
HISASHI「そうそう! だから、今回初めてこういうチャリティーに参加させてもらうに当たって、気持ち的にはすごいすがすがしいよね」
小川「でも、HISASHIの慎重になる気持ちはすごくよくわかる。俺、なんのボランティアーだったかは言わないけど、昔、すごいバブルの時期に名古屋でチャリティー・コンサートに出たんだけど、その打ち上げで水着コンパニオンとか来たもの(笑)」
HISASHI「サイテーやん(笑)」
小川「しかもギャラあり……」
HISASHI「エッ、出演者にギャラが出たの? それって誰かが儲けていたのかな?」
小川「うん。たぶんね」
HISASHI「それはチャリティーという名を借りた興業じゃない?」
小川「きっとそういうことだったんだと思うけど……」
せっかくチャリティー・コンサートに出るんだから、
当日はまず僕らが楽しくやりたいね
(HISASHI)
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HISASHI「でも僕から見た文明ちゃんは、とっても真面目だし……こんな大御所に向かってこういうこと言うのもおこがましいけど(笑)。もともとキーボード奏者、オルガン弾きとして有名だと思うんだけど、僕らは飲んで話すとグレン・グルールドだのねぇ……」
小川「ピアノの話ばっかしてるもん」
HISASHI「そうなんだよね。僕はそういう鍵盤に真摯に向き合っている文明ちゃんが好きで、ほんとに今回一緒に参加できることをとってもうれしく思っているんだけど」
小川「俺もそう。だってもしHISASHIが出てなかったら、俺、歌手は知らない人ばっかりだよ(笑)。知っていても一緒にやったことがない人とかさ」
HISASHI「実はね、レコード会社の契約とかの問題でまだ名前は出せないんだけど、当日は豪華なアーティストがいっぱい来るみたいよ」
小川「エッ?! そうなの?」
HISASHI「うん。そうらしいんで、乞うご期待を!」
小川「その人たちも俺が伴奏するの? マイッタなー(笑)」
HISASHI「っていうか、オペラのガラ・コンサートしかり、こういうイベントってバンド大変だよね(笑)」
小川「歌手によって伴奏の好みが違うからね」
HISASHI「そう(笑)。だから精神的にもドッと疲れるよね。でも、そういえば、そろそろ文明ちゃんの新譜が出るでしょう。何年目だっけ、スージー・クリーム・チーズは?」
小川「10年だね」
HISASHI「そうかぁ……。だから新譜を聴かせてもらったけど、10年選手の音がしていた(笑)。10年やれば悲喜こもごもあるものね」
小川「だから、なんかお互いに音の隙間を平気で空けられるようになった感じ。前は音に隙間があると不安になって誰かが音を入れたりしていたけど、いまはもう隙間は隙間だっていう……(笑)。でも、どうもそれがね、ウチの中学1年の次女とかにはノラ・ジョーンズのマネしているように聴こえるらしいんだよ(笑)。"パパ、これノラ・ジョーンズそっくりじゃない"、"違うよ! これは文明節だよ!"って(笑)」
HISASHI「それは手厳しいね(笑)」
小川「上の娘は高1だし、ウチは3年に1回ダブルで受験が来るんだよね。次回は大学と高校の受験だからまた大変だよ。だって、家の中が緊迫してくというか、殺気立ってくるんだよね(笑)。去年1年そうだったもの」
HISASHI「そういう時のお父さんの癒しはなんに求めてるわけ?」
小川「いやー、そういう時は自分の部屋のハモンド・オルガンをいじったりしてね……」
HISASHI「それじゃ自分で自分に対するチャリティーじゃない(笑)。でも、最近はほんとに一緒に音を出す機会が多くて、6月にライブがあるよね」
小川「それもまた楽しみだよね」
HISASHI「観客が泣いてくれればそれでいいっていうものでもないけど、最後に客席とかから嗚咽が聞こえてくると、うれしいというのとはまた違うけど、こっちも感動したりするなぁ〜」
小川「でも、意外と観客の人って"エッ?! ここで泣くの?"っていうところで泣いたりするじゃない。演奏者が"泣くならぜったいにここだ!"って思っているところでは泣かんったりするからね」
HISASHI「でも、こないだは1曲目からそうだったからビックリしちゃったんだけど、なんか1曲目からいちばん前の列で、"クスン、クスン"って、アレは花粉症じゃないのかと思うけど(笑)。でも、やっぱりチャリティー・コンサートだと、いろんな想いで聴く人がいるんだろうね」
小川「きっと、ふだんあまりコンサートに来ない人も、チャリティー・イベントということで来てくれるかも知れないしね」
HISASHI「とにかく、まず僕らがステージに出て楽しんじゃうことが、主催した人や聴きに来てくれた人にもいいものを与えられると思うから、せっかく出るんだから当日は楽しくやりたいなと思っているだけど……」
小川「それがいちばん大事だよね」
HISASHI「まぁ、自分たちがステージ上で、自己満足的に楽しんでいるだけじゃあ意味を成さないんだけどさ」
小川「そうは言いつつも、僕自身はけっこう大変なんですけどね。いろんな人のバックでピアノを弾くのは……(笑)」
HISASHI「それって、チャリティーが癒しじゃなくて逆にストレスになってない?(笑)」
小川「いや、がんばりますよ(笑)」
HISASHI「そこはプロ・ミュージシャン(笑)。それじゃあ、今回僕はチャリティー基金として文明ちゃんに払おうかな」
小川「もしかして、それは袖の下ってヤツ?(笑)」
HISASHI「そう。"HISASHIだけ特別に弾いてね!"っていうことでさぁ(笑)」
企画・協力:有限会社SERPENT
<次回の予告>
第二回 「音楽と化粧」
GUEST:EMI ELEONOLA(エミ・エレオノーラ)

次回の「WELCOME TO HISASHI'S ROOM!」のゲストは、かのロック・バンド「DEMI SEMI QUAVER」のヴォーカリストである
EMI ELEONOLA(エミ・エレオノーラ)さんです! テーマは「音楽と化粧」について。ここでしか聞けないHISASAHIとのスペシャルトークが炸裂!
5月6日(金)更新の予定なのでお楽しみに!