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今回は前回までの話を少し整理した後、それを具体的に行うために必要な企業管理システムについての話をしましょう。
まず、企業がその企業活動の管理をしっかりと行うということは、管理職が高いところからあぐらをかいて見ているというようなことではなく、現場で何かが起こっていないか、または起ころうとしていないかなどを常に監視し、もし何か問題が起こっていたらすばやくそれを認知して、対処するためのアクションを取るという"活動"を行うことである、という定義をしました。
この定義はいたってシンプルで、ひょっとしたら当たり前だと思われるかも知れません。
しかし、これを行うには以下のことが必要になります。
1.管理する要因は何か?(第2回参照)
在庫を管理する、納期を管理する、作業遅れを管理するなどの要因で、管理項目ともい
えるものです。
2.管理する対象は何か?(第2回参照)
在庫を各倉庫毎に管理する、納期を顧客別に管理する、作業遅れをライン毎に管理
するなどの具体的な対象で、管理の切り口ともいえるものです。
3.管理するための基準はどのくらいか?(第3回参照)
東京倉庫の在庫は"30日分"にする、顧客Aの納期遵守率は99%にする、Bラインの
作業遅れはその日中に必ず取り返すのでゼロである、など具体的な数値を管理基準
(値)とします。それより実際の値が多い少ないという事象から、良し悪しの判断をおこな
います。
4.管理基準と実際の差の認識はどのように行うのか?
管理基準と実際の値が異なっていることを知る、知らせてくれる方法は何(誰)なの
か、どのような方法なのかを決めて、企業活動のさまざまな現象から問題をキャッチ
アップする方法を確立します。
上記は企業がその個別の活動(販売活動、生産活動、購買活動など)を管理する際に絶対的に必要な定義になります。
逆に言えばこれらが曖昧であるということは、管理が曖昧であるともいえるのではないでしょうか? しかしながら日本の多くの企業は、これらが本当に曖昧であるといわざるを得ません。
そして、これらの管理基盤をしっかりさせるために必要不可欠なものがあります。それが管理システムです。
このコラムではなにも難しい技術用語を使って説明するつもりはありませんので、コンピューターの話が苦手な方でも心配ありません。
ある程度の規模の企業であれば、コンピューターシステムはすでに導入されていることと思います。
たとえば、販売の受注、また出荷はコンピューターシステムへ登録される、そして出荷指示はコンピューターシステムから出力される、発注したものの入庫はコンピューターシステムへ入力する・・・などです。
しかし、これが先ほど上げた管理基盤としてのシステムに成り得ているのかというと、実態はまだまだという会社が多いのです。
その理由として

1.管理職が現場への指示、および現場からの実績データを、その都度情報として取得でき
ない。なぜなら、現場のシステムと管理システムが別々なので、夜間に一括処理で情報
を現場システムから管理システムへ移行する処理をおこない、そこでまた集計処理を
行ったりしていると、その時々の最新の情報やデータがすぐ手元で確認できないことに
なるからです。
2.今でこそある程度安くなりましたが、パソコンなどの端末が現場へ配置できないことから、
現場の実績をその都度入力できないので、その日の終わりにまとめて実績入力しなけれ
ばならない、といったことも起こっています。
3.入力されたデータの集計方法に管理ノウハウが導入されていないために、単なる一覧表
になってしまっている。そのため、どのデータが問題なのかを目で追うしかチェックする
方法が無い。
4.管理基準の設定をしてもそれと比較し問題を抽出するには、システムの改良が必要で
あるが、技術者が辞めてしまってもう改修できる状態ではない、などの現状システム
メンテナンスの側面でも大きな問題を抱えている。

といったように、上げていくときりがないのですが、上記のように現状のシステムにいろいろな問題がある場合は、管理するというより、日々の業務を左から右へ流すためだけのシステムになってしまっているといっても過言ではない事例も多々あると思います。
もともと日本企業は、情報処理に対して高い投資を行うことが、企業戦略につながるという意識が低い印象を受けます。それは
■経営層が正直コンピューターシステムが良く分からないため、その価値が正しく理解されていないという傾向。
■今まで、大きな戦略が無くとも、右肩上がりでの成長をしてきた日本企業の管理面での脆弱な体質(具体的には数字に弱い管理層、経営層)。
などの表れではないでしょうか?
ちょっと考えてみてください。年商360億円の売り上げを出す会社(日本では中小規模の企業)は毎日1億円を売り上げるのです。毎日1億円の売り上げ(出荷)を出すには、本当にさまざまな個別の活動があるでしょう。受注、出荷指示、製造指示、発注、それらに対する、出荷実績、製造実績、発注入庫実績、またそれに基づく会計処理、それらを管理する作業は想像しただけでもものすごいボリュームです。
その中で何が起こっていて、どのようなことに対処しなければならないか?を探し出す活動は、先にあげた管理基盤を前提とした管理システムが無ければ不可能でしょう。しかしながらそれがちゃんとできていないとすれば、それは管理が十分にできていないことになるのは明らかです。
毎日帰宅する前に、「今日の仕事は全て無事に済んだ」、と確信して帰れる管理職の方は、日本企業にどのくらいいるのでしょうか?
中山和治 プロフィール

1968年生まれ。1991年に外資系タイヤメーカーに入社し、IE(インダストリアル・エンジニアリング)をベースとした社内コンサルティング部門に所属。以後工場内のレイアウト、機械/作業研究、在庫保管場所設計、JIT方式導入、工場内物流のデザインをなど担当。
その後物流部門にて、国内物流設計、営業所在庫配置基準設計意などを担当。
1996年にSAPジャパンに入社。生産管理コンサルティング部門所属。2001年よりSCMコンサルティングマネージャーになる。

2006年4月:マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社を設立。
取締役副社長に就任。

<コンサルティング実績>
重工業、電気メーカー、電子機器メーカー、食品メーカーなど製造業システム導入および業務改革,システム活用改善など。
SCM(サプライチェーン・マネージメント)診断、ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)活用診断の実施。

<マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社のサービス>
ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)の有効活用を基本とした、コンサルティングサービスを展開します。
日本企業のERP導入に関して、その効果を見出せていないという不満を解消すべく、ERPの導入目的、人材教育、実際の活用状態、改善ポイント、改修プロジェクトの仕切りなどを請負うコンサルティング会社です。
今後日本における製造業のサプライチェーンを中心としたマネージメント方法の課題に着目し、コンサルティングを行っていきます。

<会社概要>
名称 : マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社
所在地 : 東京都中央区日本橋富沢町5-3 I.B日本橋ビル303
資本金 : 1000万円
代表 : 代表取締役社長 巻幡雄毅
事業内容: 経営コンサルティングを中心とした会社運営、および業務の合理化、効率化のサポート
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