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第4回のコラムでは、企業の管理意識と情報システムについて触れました。前回に述べたように企業の業務システムは、業務を滞ることなく行うためのシステムであり、管理するためシステムという面ではまだ整備されていていない部分が多いようです。
その問題について少し補足しておくと、もともと業務システムは各部門ごとにバラバラに構築されてきました。それはその時代のハードウェア(パソコンなど)の処理能力の問題(各部門の処理をおこなうのが精一杯のハードウェアしか無かった)もあったでしょうし、プログラム開発の技術の面でも個別の要件に対応することが精一杯だったという事情があったと思います。
しかし、近年では個別に情報システムをオーダーメイド(手作り)してきたことから生まれる 問題が、企業内で明らかに浮上してきたと言えます。その問題を要約すると以下のようになります。
1.先に述べた管理を行うためのシステムという側面においても、既存のシステムでは機能
的に十分ではない。
2.メンテナンスを行うにもそれを構築した人間でないと分からないが、しかしそれを構築した
人間はもう会社を辞めているなど理由から、メンテナンスに対応できない(すこし前にあっ
た「2000年問題」がいい例でしょう)
3.新しいビジネスに対応しようと考えても、本質的な変更ができないゆえに基本システムを
変えずに、システムを追加することで対応するしかない。
4.しかし、単純なシステムを追加はさらにメンテナンスの範囲を複雑にし広げることになる
ので、積極的に追加する姿勢にはなれない。
このような問題を解決すべく昨今世の中に登場したのが「ERP」というシステムです。
今回はこの「ERP」というシステムについてご紹介しましょう。
「ERP」という言葉は"Enterprise Resource Planning"という言葉から来ています。これを翻訳すると「企業資源計画」となりますが、みなさんは「企業資源計画」と言われても、ちょっと解釈に困るでしょう。
今現在では、「ERP」といえば「基幹業務統合パッケージシステム」というシステムを指す言葉になります。
これでもなんだか難しいですね。要は企業の販売、生産、購買、会計、人事……などさまざまな業務を処理するシステムでかつ、出来あい(既製)のシステム(パッケージシステム)のことを言います。さらに言えば、「ERP」(「根幹業務統合パッケージシステム」)とは、すでにシステムとしては出来上がっており、かつそれが各業務の相互関係に矛盾がないようにつながっており(統合システム)、さまざまな企業内活動を支援するシステムということになるのです。
つまり「ERP」とは、今まで複数に分割されて存在していた各業務システムが、1つですんでしまうという優れものなのです。そして、そのようなシステムを開発、販売している会社がいくつも出てきているのが最近の状況です。
すでに出来ている、ということで言えば、"さまざまな業務、および管理体系を持つ企業にどのように対応するのか?"という疑問を持つ方もいると思いますが、それは最終的にその企業のスタイルに合わせていくという導入時の作業で解決します。ということなので、やはりすでに出来ているとは言っても、購入後すぐ使用できるわけではありません。
それではここで、もう少し具体的にいくつかの角度でERPを解説していきます。
<特徴1:パッケージシステム>
パッケージシステムとは先にも触れましたが、すでに出来上がっているシステムです。ということはそれを販売している会社が、ユーザーとして想定した業種や会社の企業活動をイメージしながら作ったシステムですので、それを購入した会社は基本的にソフトウェアーの保守をその販売元(ベンダー)に委託できるわけです。
これによって誰かがやめてしまい、中身が分からなくなるような状況からは逃れられることになります。
またそのソフトウェアーはベンダーが徐々に開発を追加していきますので、バージョンアップすることで、さらに便利な機能を自動的に得ることができます。
もちろん、それはパッケージ化されている部分(標準機能)に限った話で、導入の際に追加プログラム(アドオン)や標準プログラムの変更(モディフィケーション)が行われていない部分、機能に限定されるのですが……。まあ、自社で一からプログラムを組んで行き、結局どのようなシステム構造になっているかがわからないような事態になることを考えると、パッケージシステムはそれ専用の会社が多くの導入事例を掲げて説明し、導入後もメンテナンスやバージョンアップの面倒を見てくれるわけですから、十分に魅力があると言えるでしょう。
<特徴2:業務統合システム>
「ERP」は統合システムです。何が統合されているのかというと、業務処理全般です。たとえば、受注をすれば製品の在庫情報をチェックする、出荷すれば在庫資産が減り、売上原価が計上される、生産実績を記録すれば、実績原価が計上され、部品在庫数が減るなど、業務に関連するさまざまな事柄がいっぺんに処理できるわけです。
つまり「ERP」は、データ処理のタイミングと会計仕訳をすべて一括して管理してくれるのです。それは1つのシステム(データベース)の中で、販売、生産、購買、会計、人事などすべての整合性を保ちながら、処理をおこなえるように設計されているからなのです。
当然ながら、マスタデータも一元管理されることになります。販売であつかう製品のコード、生産であつかう製品コード、在庫管理であつかう製品コードは、「ERP」導入によって1つのマスタデータで管理されるようになります。さらに個々の企業ごとに、販売と生産では中身に異なる製品コード情報を入力しているでしょうが、そのへんも見事に対応できるようになっているのです。
しかし、業務全般の範囲で具体的に説明していくと膨大な説明が必要になりますので、これはこのあたりでとめておきます。
<特徴3:ビジネス設計のモデル>
通常会社は、業務の仕方や方法について意外に自信を持っていないものです。きっと"本当にこんなやり方でいいのか?""他の会社はどうやっているのか?"など、日常の業務に対して疑問に思っている部分が皆さんの中にもあるのではないでしょうか。
「ERP」の特徴には、その業務のやり方が雛形(モデルケース)として集約されているということもあります。しかも、そのモデルケースは、いろいろな管理システムの理想形や成功例を基に作られたものなのです。
ですから「ERP」導入の際に、"モデルケースに合わせて業務を再設計(再構築)しろ"という意見がよく出てくるのは、「ERP」その部分の特徴から起こることなのです。
今回は「ERP」という存在について知っていただき、その前半をご紹介しました。
「ERP」については次回のコラムでも引き続き説明します。
中山和治 プロフィール

1968年生まれ。1991年に外資系タイヤメーカーに入社し、IE(インダストリアル・エンジニアリング)をベースとした社内コンサルティング部門に所属。以後工場内のレイアウト、機械/作業研究、在庫保管場所設計、JIT方式導入、工場内物流のデザインをなど担当。
その後物流部門にて、国内物流設計、営業所在庫配置基準設計意などを担当。
1996年にSAPジャパンに入社。生産管理コンサルティング部門所属。2001年よりSCMコンサルティングマネージャーになる。

2006年4月:マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社を設立。
取締役副社長に就任。

<コンサルティング実績>
重工業、電気メーカー、電子機器メーカー、食品メーカーなど製造業システム導入および業務改革,システム活用改善など。
SCM(サプライチェーン・マネージメント)診断、ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)活用診断の実施。

<マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社のサービス>
ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)の有効活用を基本とした、コンサルティングサービスを展開します。
日本企業のERP導入に関して、その効果を見出せていないという不満を解消すべく、ERPの導入目的、人材教育、実際の活用状態、改善ポイント、改修プロジェクトの仕切りなどを請負うコンサルティング会社です。
今後日本における製造業のサプライチェーンを中心としたマネージメント方法の課題に着目し、コンサルティングを行っていきます。

<会社概要>
名称 : マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社
所在地 : 東京都中央区日本橋富沢町5-3 I.B日本橋ビル303
資本金 : 1000万円
代表 : 代表取締役社長 巻幡雄毅
事業内容: 経営コンサルティングを中心とした会社運営、および業務の合理化、効率化のサポート
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