悩み解決サークル

更新日2005620
連載コラム

探偵事務所事件簿 第11回
「隠された事実」
総合探偵社MISSION  CEO 今村啓一朗



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今回の依頼は、28歳男性。結婚5年目、妻と子供が3人、妻の実家で義母と暮らしている。
実際に会ってみると、電話での落ち込んだ声とは違い、とても好青年だ。


改めてお話聞かせて頂けますか?

「はい。・・・恥かしい話なんですが、妻の行動を調べて欲しいんです」

浮気調査ですか?

「ええ…。実は、おかしいなっていちばん最初に気付いたのは、ずっと前なんです。1人目が生まれた後だから・・・もう4年前かな? 僕たち、出来ちゃった婚だったんで・・・」

どんな風におかしいと思ったんです?

「特に何かが変わったって感じではないんです。その時は何か違和感を感じただけで・・・。でも、それまでになかった行動を取るようになったんですよ」


・妻も仕事(銀行員)をしており、1人目を出産後、復帰したが、少しずつ帰りが遅くなってきた。今ではPM10時頃にしか帰らない。

携帯電話の発着信やメールを消去している形跡があった。

・その内に携帯電話にロックが掛かるようになり、今ではどうも2つの携帯を所有しているようだ。

・妻の趣味ではないCDや雑誌が、時々車に乗っている。

・社員旅行に行くと言っていたはずの日付で、高速の領収証が車のゴミ箱に捨ててあった。


・妻が飲み会だといって外出する日は、携帯電話の電源が切れている(本人いわく「地下で電源が入らない」らしい)。

・妻が休日の日に(夫はサービス業のため、休日がすれ違っている)、たまたま早く仕事が終わって帰宅したら、妻が子供を残して外出していた。携帯に電話をしたら慌てて帰って来たが、すごい剣幕で「予定外の行動を取るな」と怒鳴られた。


細かい事を言えばまだまだあるのだが、ざっとこんな感じである。夫婦仲が特に悪いというわけでもなく、普段は子供たちを可愛がる普通の母であり、家事もよくしてくれる良き妻なんだそうだ。セックスレスでもない。

「浮気するのは男だけだろうと思ってたんですよ。でも、何かおかしいというか、納得いかないという・・・女も遊んだりするんですかね・・・」

しますね、残念ながら。携帯を2つ持っているのが本当なら、おかしいですよね。

「ですよね、やっぱり…じゃあお願いします」

男性はガックリ肩を落として、呟いた。「調べてみないと分かりませんよ、シロの時だってありますから」と言うと、「本当ですか?」と私を見る、ワラにもすがる様な目が胸に突き刺さった。

依頼者からもらった情報を元にさっそく調査に取り掛かる。

【事前調査】
1.対象者/山下 里香子(仮名・28歳)
2.勤務先/○○銀行○○西支店 窓口担当
3.所有車/山口50 な・2−●● ダイハツムーブ シルバー
4.土日休日。毎朝8時に自宅を出て車で通勤している。自宅から職場までの距離は車で約20分。
5.写真あり。

調査開始は、対象者の勤務先と決まった。早速、現場を下見する。


【現場】
・「○○銀行○○西支店」は、比較的大きな交差点の角にある。交差点はT字になっていて、ちょうど下見を行った夕方は渋滞していた。
・入口は正面玄関と裏口が1つ。正面は営業時間が終了するとシャッターが下りるので、対象者は裏口から出て来ることが明らかである。
・社員専用駐車場は銀行の隣の駐車場スペースにある。


とても見通しの良い交差点で、バス停やレンタルショップ、本屋など、店内からでも銀行が目に入る程である。張り込みには何の支障もないだろう。

★1日目
対象者のいる銀行へ。窓口にいる人物を見て、写真と照合する。
当局調査員を行かせ、通帳を作るフリをして対象者の顔と名前を確認。
調査対象者である事を断定し、退社時を伺う。


PM6:41
対象者、勤務先より出る。

黒のパンツスタイル、白の開襟シャツ 、栗色のロングヘアーをポニーテールにしている。黒のローヒール、茶色のショルダーバッグ。

社員専用駐車場に停めてあるマイカーに乗り込み、自宅方面へ。


PM6:47
自宅への通り道にある大型スーパーに立ち寄る。
タイムサービスの塩サバと大根1/2、糸コンニャクと豆腐を買う。合計401円なり。


PM6:59
再度車に乗り込み、自宅方面へ。


PM7:12
職場と自宅のちょうど中間あたりの脇道を右折。曲がってすぐのマンションの下で停車。

対象者は、携帯で誰かに電話をかけている。

約1分間通話し、エンジン停止。買物袋を持って車を降りる。


PM7:15
11階建てのマンション「シャントレー■■」。エントランスに入り、鍵を出してオートロックが解除、中へ。

1002号室へ入るのを確認。


PM9:40
ドアが開き、対象者が出て来る。

後ろから、30歳前後と思われる男性が見送りに出て来た。
第2対象者である。

ドアの前でキスをして、対象者はエレベーターに向かった。


PM9:52
対象者、自宅に戻る。

1時間の張り込みを実施、電気が消えた事を確認して、本日の調査を終了した。


初日で証拠が取れるとは、私も予想外だった。
戻って来た調査員に聞くと、


「昼間に銀行で対象者を確認している時に、融資窓口で第2対象者を見た」

という。

ということは…?  社内不倫である。

★2日目
時間帯の前後はあるものの、やはり昨日と同じく、第2対象者のマンションへ向かう。
どうやらこの様子では、毎日通っていると思われる。


調査員の調べによると、第2対象者は、
1.田中俊介(仮名・31)。現在独身、離婚歴1回。1年前に協議離婚している。
2.前妻との間には娘(3)が1人。現在の行き来はない。
3.対象者と同じ「○○銀行○○西支店」で、融資を担当している。


★3日目
やはり今日も、対象者は第2対象者のマンションへ。
違うことと言えば、帰宅時間がPM11時を過ぎていたことくらいだ。
おそらく、明日が土曜日で休日だからだろう。


★4日目

AM9:15
対象者、子供3人(長男5歳/次男3歳/長女2歳)と共に、車で出掛ける。

区内にある大きな公園で、子供達とボール遊びをしている。


AM10:06
第2対象者が現れる。対象者に近付く素振りからして、待ち合わせていた様である。

驚くことに、子供たちも第2対象者になついている様子だ。 何も知らなければ、普通の家族に見えるくらいである。

PM5:55
公園内で遊んだり、対象者の手作りらしきお弁当を食べたり、昼寝をしたりして楽しんだ後、 対象者と子供達は車に乗り、真っ直ぐ帰宅。

第2対象者はコンビニエンスストアで買物をした後、自宅に戻った。



★5日目
今日は依頼人であるご主人から、一家で出掛けることを聞いていたので、調査はしないこととする。


★6日目
月曜日。またしても対象者は、第2対象者のマンションへ向かう。


★7日目(最終日)
変わらず、第2対象者のマンションへ。これで、日曜を除く6日間の第1対象者の行動の証拠が集まった。


「やっぱりそうでしたか・・・」

電話口で、依頼人は力なく呟いた。

「それは・・・映像で残ってるんですよね。あんまり見たくないけど、現実は受け止めなきゃいけないんだろうなぁ・・・」

いえ、実はこれだけじゃないんですよ。

「えっ? まだ何かあるんですか? 男がいた以外にも?」

とにかく、こちらへいらして下さい。報告書を見れば分かります。

「わ、分かりました・・・」

翌日の夕方、依頼人はやって来た。
食い入る様に、報告書を見ている。私はただ黙って、その姿を見守った。


あるページで、依頼人の手が止まり、顔から血の気が引いた。

「これ…これは本当なんですか・・・?」

驚くのも無理はない。ショックという言葉では、とてもじゃないが片付かないであろう。
報告書を持つ彼の手が震えていた。


「僕の子供じゃないんですか・・・?」

調査の結果、判明したことは不貞の事実だけでは済まなかった。

対象者:里香子と、第2対象者:田中は、4年も前から交際を続けてきた。
それが田中の前妻に知れ、多額の慰謝料と養育費を払って、協議離婚したのである。

先程も述べた様に、里香子にも、田中にも、互いに3歳になる子供がいる。
里香子の息子/祐介(仮名・3歳)は、田中の子供だったのだ。
しかも長女/美咲(仮名・2歳)も、である。


依頼者は、そうとは知らずに今まで我が子として育ててきたのだ・・・。


依頼者は報告書を閉じ、うつむいたまま、

「ありがとうございました・・・」

とだけ呟いて、当社を後にした。

その後、彼ら夫婦がどうなったのかは定かではない。

一般的に、浮気は男がするもの、と思われている。
自分の妻が、自分のいない間に男と会っているなんて、想像もしない。
でも、これが現実である(今回のケースは稀だが…)。


女はコワイな・・・と思うと同時に、何とも後味の悪い結果となった。



今村啓一朗 福岡県出身 37歳

中小企業における民事訴訟のあり方や、それに君臨する弁護士行政に疑問を感じ、自ら経営していた会社代表を辞め、探偵業界に身を投じた。民事事件に関する情報の収集と訴訟に関する証拠収集の技術を習得。業界最大手の探偵養成学校の講師のスペシャリストとして名を馳せる。
今村自ら機密調査機材として開発してきた機材は数知れず、製造した機器は、今や探偵七つ道具となっている。これからの犯罪防衛は自分で守らなければ・・自ら開発した機密調査機器をセキュリティ機器として考案。日本に唯一、一台しかない特殊調査車両の設計から開発まで自ら製造し2001年4月防犯機器会社設立に貢献した。
平成14年1月、福岡に総合探偵社MISSIONhttp://www.themissions.jp
を設立し全国でNO1の実績はTV・ラジオ・雑誌でなど数社に渡って紹介された。
平成16年3月 MC探偵学校http://themissions.jp/school/
を設立し現在までに多くの探偵を世に送り出して来た。
現在、総合探偵社MISSION MC探偵学校を始め 個人審査事業会社や
インターネットソリューションの開発・企画会社も経営。
                  (2005.1現在)

総合探偵社MISSION 0120−755−340  http://www.themissions.jp