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「孫の婚約者を調べて頂きたい」
威圧感たっぷりのご老人は、アポもなく突然訪れた。
「娘は孫に甘過ぎる。結婚は、好きだ惚れただけでは出来ん」
「は、はぁ・・・ご両親は、お孫さんの結婚に賛成していらっしゃるんですか?」
「フン、娘夫婦や孫の目はごまかせても、わしはごまかされんぞ。あの男は、どうもうさん臭い」
対象者、奥村亮一(仮名/30歳)。
同じ市内に住んでおり、本人名義の戸建住宅を所有している。
母子家庭で育ち、母に楽な生活を・・・と、某大手航空会社で操縦士として勤務。
結婚後は自分の所有する自宅に同居して、専業主婦になることを希望しているという。
写真を見せてくれたが、なかなかの好青年である。
「なにをお知りになりたいんですか?」
「この男が所有している資産、勤務状況、私生活、すべて洗い出してもらいたい。
何もかもが胡散臭いと思わんか? この顔といい、職業といい、出来すぎじゃないか」
そう言われればそうだが・・・どちらかといえば、心配でたまらないといった様子だ。
悪い虫がついた様な気がして、居ても立ってもいられないのだろう。
我々は、早速調査に取り掛かった。
調査開始日は、依頼者の孫娘・高田麻子(仮名/21歳)とデートだった。
○○空港内にあるカフェ「ムーランルージュ(仮名)」で待ち合わせ。
時計を気にしながら待っている所へ、対象者はやってきた。
紛れもなく某大手航空会社の制服を着用し、フライト帰りといった様子だ。
しばらくティータイムを楽しみながら、つのる話を語り合っている2人。
一見、何の問題もなく、若さ溢れる初々しいお似合いのカップル・・・といった感じである。
フライト先で買ったらしい、某高級ブランドのバッグをお土産で渡す。
席が近かった為、会話が聞こえてくる。
「えぇっ、明日またフライトなの? つまんない」
「そんな顔するなよ。麻子にそんな顔されたら、行けなくなっちゃうだろ」
「明日はどこ?」
「シンガポール。次に会えるのは早くても明後日だなぁ。
ごめんな、寂しい思いさせちゃって」
デートを終えて、タクシーに乗り、彼女を門限の夜9時に送り届ける。
もちろん、自分も一緒に玄関まで行き、一言挨拶をしてから帰る。
今どきの若者にしては珍しいほど、礼儀正しい。これでは親も太鼓判を押すのは当たり前だ。
自宅に戻った対象者は、疲れているのか早々と電気を消してしまった。
うっすらとテレビらしき明かりが漏れているが、どうやらベッドに入っている様子である。
対象者の自宅は手入れが行き届いていて、母親の趣味であろうガーデニングが、敷地内を彩っている。
駐車場スペースには、白のBM●があり、大事に乗っているらしく、かなり年代物である。
翌朝、対象者は何時になっても出て来ない。
依頼者からの情報では、AM11:40発のはずだが、もうすでに夕方である。
と思った次の瞬間、対象者が家から出て来た。
ジャージに草履、寝癖で頭はボサボサ、顔も洗ってない、といった風貌だ。
ズボンに手を突っ込んでお尻を掻き、ついでに頭も掻いた後、吸い込まれそうな欠伸をして、郵便受けに入れられたスポーツ新聞を取って家の中に戻って行った。
その日、彼は外出する事はなかった。
依頼者の勘は当たっていた。
この男、パイロットどころか、定職についていない、まったくの無職であることが判明。
車の名義は本人のものだが、廃車寸前のところをタダで引き取り、修理して乗っていた。
前職は、車の整備士。しかも専門学校を出て、わずか1年も勤務していない。
それ以来、ずっと無職なのだ。
母親はパートに出掛け、夜は友人のカラオケスナックの手伝いをして、月に20万弱を稼ぐ。
それを対象者が、ギャンブルとデート代に使っている。
もちろん「フライトのお土産」も、母親のカードで購入したものだ。
ちなみに某大手航空会社の制服は、ネットのコスプレ専門店で買った物である。
この息子のお陰で破産寸前に追い込まれていた。
抵当権のついたこの家を建てたのは、昨年他界した父親であった。
父親の死後、勝手に名義を自分に変え、家を担保に金を借りたのだ。
当局の調査員がとらえた映像の中に、自宅の玄関から転がり出る母親の姿があった。
その後を裸足で追い駆け、母親に殴り掛かる対象者。
泣いて懇願しても、手を止めようとしない。
「金がねーなら盗んででも作って来いよ!!」
吐き捨てるように言った。
報告当日。 依頼者宅へ来て欲しい、と連絡があった。
そこには、依頼者の高田圭一郎(仮名)、娘夫妻、孫娘の麻子、そして某航空会社の制服を着た対象者の姿があった。
依頼者以外は、何のことか分からない、といった様子で見守っている。
私は、調査報告書を差し出した。
「やっぱりそうか。映像はあるかね?」
報告書を見てうなずくと、ビデオを受け取り、テレビに映し出す。
「こ、これはどういう事ですか!!」
映し出される自分の姿に驚き、対象者は顔を真っ赤にして叫んだ。
狼狽し、挙動不審に陥っている。
しかし、正体がばれたと分かると開き直ったのか、
「お前なんか本気で好きになるかよ!!!」
と捨て台詞を吐き、出て行ってしまった。
「恋や愛で腹は太らんのだよ。
孫は本気だったかも知れん。その分傷付けてしまった。
だが先々の苦労に比べたらたいしたことじゃない。すぐに忘れるだろう」
依頼者は、外を眺めながら言った。
結婚は一生を左右する。
それだけに、真剣に自分と向き合って、相手をよく見極めて欲しい。
今村啓一朗 福岡県出身 37歳
中小企業における民事訴訟のあり方や、それに君臨する弁護士行政に疑問を感じ、自ら経営していた会社代表を辞め、探偵業界に身を投じた。民事事件に関する情報の収集と訴訟に関する証拠収集の技術を習得。業界最大手の探偵養成学校の講師のスペシャリストとして名を馳せる。
今村自ら機密調査機材として開発してきた機材は数知れず、製造した機器は、今や探偵七つ道具となっている。これからの犯罪防衛は自分で守らなければ・・自ら開発した機密調査機器をセキュリティ機器として考案。日本に唯一、一台しかない特殊調査車両の設計から開発まで自ら製造し2001年4月防犯機器会社設立に貢献した。
平成14年1月、福岡に総合探偵社MISSIONhttp://www.themissions.jp
を設立し全国でNO1の実績はTV・ラジオ・雑誌でなど数社に渡って紹介された。
平成16年3月 MC探偵学校http://themissions.jp/school/
を設立し現在までに多くの探偵を世に送り出して来た。
現在、総合探偵社MISSION MC探偵学校を始め 個人審査事業会社や
インターネットソリューションの開発・企画会社も経営。
(2005.1現在)
総合探偵社MISSION 0120−755−340 http://www.themissions.jp
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