











WHO IS HISASHI?
東京生まれ
・大学時代から米軍基地や国内外でのジャズ・スポット等で歌手活動を開始。4オクターブ近い音域を駆使した独自の歌唱は、グラミー賞歌手のクレオ・レーンからも絶賛される。彼が持つジャンルを超えた音楽性は、清水靖晃氏、村上ポンタ秀一氏、吉野弘志氏、ヤヒロトモヒロ氏等、日本を代表するミュージシャン達との共演を通して、多くのファンに支持されている。
・「日本アカデミー賞優秀音楽賞」3回の受賞歴を持つ谷川賢作氏とは、寺山修司追悼番組での共演を機に、"VOX POP"というユニットに発展、あらゆるジャンルの音楽、語学、そして自らの美意識の体現を軸に『歌うオブジェ』として活動中。
・さらに映画、演劇、CM、「JTB」イメージソングや、NHK「出来事 for WINDOWS」「TOYOTA CUP サッカー」等の作詞、作編曲や語りで『聴かせる空間の創造』を展開するなかで、「ジ・エキセントリック・オペラ」(EPIC/SONY)にゲスト参加するなどカウンターテナーの領域にまで活動の幅を広げている。
・ジャズピアノを弘勢憲二、佐藤允彦両氏に師事。自己のグループDiVaでの活動の他、坂田明、宮野弘紀、続木力、土井啓輔 他多くのミュージシャンとのセッションワークを重ねる。
・映画・TV等への作曲も数多く、代表作に映画「四十七人の刺客」「竜馬の妻とその夫と愛人」、NHK「その時歴史が動いた」テーマ音楽、手塚治虫記念館HD作品「都会のブッチー」等。
・1988/95/97年日本アカデミー賞優秀音楽賞受賞。
・1995年第40回アジア太平洋映画音楽祭最優秀音楽賞受賞。
・1999年自己のレーベル、トゥルバドールカフェを創設。現在まで自己のピアノソロ作をふくむ11枚の作品をリリースする。
・また、父、谷川俊太郎と共に、朗読と音楽のCD「家族の肖像」(2004年)をリリースする。
・ハーモニカの続木力とのユニット「パリャーソ」も、現在までにアルバム2枚をリリース。「パリャーソ」の年間ライブ本数は40本を越える。
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谷川賢作
インフォメーション
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連続ドラマ
笑う三人姉妹
放送日: 5/16〜6/16毎週月〜水
23:00〜23:15
5週連続 全20回
作: 秋元 康
音楽: 谷川賢作
タイトル画: 水森亜土
出演: 浅野ゆうこ
光浦靖子
牧瀬里穂
田辺誠一
小林幸子
石倉三郎
益岡徹
井上順
野際陽子
橋爪功ほか
谷川賢作ピアノソロナイト
日時: 7月15日(金)
19:00 Open/19:30 Start
場所: 公演通りクラシックス
渋谷区宇田川町19-5
山手教会B1F
出演: 谷川賢作(pf)
オープニング・アクト“MitaTake”
見田諭(g)
佐野岳彦(blues h&vo)
料金: \3,000(1drink付き)
問合せ: 公演通りクラシックス
03-3423-6343
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HISASHI's
ライブ・インフォメーション
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『Session』
正に、何かの扉が開かれる
“Session”!!
HISASHI自身が愛してやまない、
贅沢極まりないリズム隊とvoice。
緊迫且つリラックスし得る、
ライヴならではの絡み合いが、
唯一無ニの快楽へと誘います。
日時: 6月16日(木)
18:00 Open/19:30 Start
場所: 中目黒・楽屋-らくや-
目黒区上目黒2-15-6
出演: HISASHI(voice)
坂井紅介(w.bass)
村上"ポンタ"秀一(ds)
料金: \3,500+オーダー
問合せ:中目黒・楽屋-らくや-
03-3714-2607
『HISASHI return to
Star Pine's Cafe』
固定のグループ形態に依存しない
HISASHIが、ここ最近、自身のユニット・スタイルとして温めている
極上の「ポップス・ユニット」。
オリジナルからジャズに至るまで、
変則的な編成での演奏も興味深く、
各ミュージシャンの度量の確さを
痛感出来ること請合。
又、若さ溢れる「MitaTake」の、
ハート・ウォームなサウンドも、
一見・一聴の価値ありです。
日時: 6月29日(水)
18:30 Open/19:30 Start
場所: 吉祥寺Star Pine's Cafe
武蔵野市吉祥寺本町1-20-16-B1
出演: HISASHI Unit
HISASHI(voice)
小川文明(pf)
岩佐真帆呂(reeds)
ヤヒロトモヒロ(perc)
オープニング・アクト“MitaTake”
見田諭(g)
佐野岳彦(blues h&vo)
料金: \3,200+オーダー
問合せ:吉祥寺Star Pine's Cafe
0422-23-2251
『HISASHI&パリャーソ』
ヨーロッパ で人気の高い続木力、 作
編曲家としても幅広い活動を
繰り広げる谷川賢作のユニット
「パリャーソ」との共演!
パリャーソ はポルトガル語で
ピエロの意。2001年12月結 成以来、
全国各地でのライブ、コンサートは
既に100本以上を数え、
HISASHIを交えた今回 のライブは、
ファンならずとも必見モノです!
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『第三回 音楽と言葉』
〜違いがわかる男のボーカル・コンプレックス〜
3rd GUEST 谷川 賢作
(ピアニスト/作・編曲家)
そのユニークな音楽性やワン・アンド・オンリーなボーカル・スタイルがファンばかりでなく、多くのミュージシャンたちから絶賛されている HISASHI。その彼がホストとなって、音楽仲間と親しい友人たちをゲストに招いてのトーキング・フリーセッション。
今回のゲストは、「どら平太」や「四十七人の刺客」 などのサウンドトラックを担当。「日本アカデミー賞優秀音楽賞」を3回受賞という輝かしいキャリアを持つ谷川賢作さんだ。ボーカリストHISASHIとピアニスト谷川賢作氏の言葉のセッションは、どんな展開を見せるのか?
DiVaをやってわかったことは、歌の歌詞っていうものは
ある程度のシンプルさが必要なんだなってことだね
(谷川)
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HISASHI「HISASHIの部屋第3回目のゲストは、実は四半世紀に近くなる付き合いの谷川賢作さんに来て頂きました」
谷川「ホントになんかラジオみたいだね(笑)」
HISASHI「僕もなんでこういうフリになるのかわからない(笑)。こう見えて僕、実はラジオのパーソナリティー志願だったり……(笑)。とにかく毎回、親しい友人とのよもやま話はやめておいて、ちゃんとテーマを設けて話そうという……ねっ。それで今日のテーマは「音楽と言葉」っていうことです。今回は賢ちゃんに来てもらうということで、あえてこういうテーマを選んだんですけどね」
谷川「うん、「音楽と言葉」……いいんじゃないですか」
HISASHI「で、唐突なんですが、HISASHIが賢ちゃんと知り合った頃に、賢ちゃん引っ越ししたよね。その引っ越しパーティーでいろんな昔の物が出てきたっていって、確か小学校か中学校の頃に書いた文章を見つけたじゃない。それが作文とも散文とも言えない……走り書きのようでもあるし、散文が集まったもののようでもあるしっていう……」
谷川「すいません、覚えてません!(笑)」
HISASHI「(笑)……それが江戸川乱歩のミステリー作品を読んでいるような不思議な文章だったんだよね」
谷川「えーとね、それはたぶん小学校3、4年の頃に書いたものじゃないかなぁ?」
HISASHI「そう、小学校3、4年っていっていたかもしれない」
谷川「いや、いろいろ趣味の変遷があるんですよ。切手を集めたり、酒蓋集めてそれでメンコみたいに遊ぶのも流行って、その後にルパンとホームズと江戸川乱歩がポプラ社から全集で出て、それがすごい流行ったから、それに影響されて書いたものじゃないのかな……よく覚えていなけいどね」
HISASHI「なるほどね。その時に「音楽仲間の内なる文学性を垣間見た」みたいな・・・。それでいみじくも「音楽と言葉」なんてシンプルかつおごそかなテーマなんですけどね……」
谷川「まず、私は父親が高名な詩人なんで、すごく早い段階から自分に文才がないってことはよくわかってましたよ。己を知るっていう意味では"ああ、もう違うな"っていうね。逆に自分に音楽の才能があるのは、わりあい早い時期から自覚していたと思う……」
HISASHI「ほんとに……」
谷川「でも、中学でピアノのレッスンを止めちゃうんだけど、高校でまた自然とバンドに戻ってきて、それで"プロになろう!"と思ったのは、もう18、19くらいの時だからね。でも、言葉と言っても、自分で表現する言葉と受信する言葉はまったく別ものじゃない?」
HISASHI「じゃあ、表現しようという言葉に関してはコンプレックスあるというか……そうでもないのかなぁ?」
谷川「だから、具体的に言えば詩だよね。"詩は自分には書けないな"っていう想いはすごくあったよね」
HISASHI「それでも"書いてみたい"という憧れは……」
谷川「イヤ、あんまりなかったな」
HISASHI「そのせいなのかな? 賢ちゃんとHISASHIがオリジナル曲を作る場合は、賢ちゃんが曲を書いて僕が詞を書くっていう役割分担が自然とできていたじゃない。"なぜ賢ちゃんは曲も詞も自分で書かないのかな?"って思ったことはあまりなかったよね」
谷川「まぁ、詞の部分では自分を客観的に見れていたと思うな」
HISASHI「でも、詩って大まかに言偏(ごんべん)に寺の詩と、言偏に司の詞に分けられちゃうけど、ちょっと前までDiVa(ディーヴァ)で活動していた時は、現代詩に曲を付けるというコンセプトだったじゃない。それはポップスとも違うし、ジャズなんかの自由さとはまた違うおもしろさがあったじゃない」
谷川「確かにDiVaがおもしろかったのは、通常の楽曲のスタンダードな構造みたいにAがあってA'があってサビがあってまたAに戻ってくるっていうところから抜け出せる……まったく曲を付けることを前提として書かれていない現代詩は、そんなルールは吹っ飛んじゃうわけじゃない。だから、どこにサビっていうかカタルシスを持ってくるのか?とか、カタルシスはなくていいのか?とか、そういうことを技術的に考えるのがおもしろかったんだよね」
HISASHI「あれはおもに俊太郎(谷川)さんの詩だったけど、詩の途中から作曲したりとかはしなかったの?」
谷川「それはナイナイ……」
HISASHI「ぜんぶアタマから?! ふつうの曲だったらサビが浮かべばサビから作り出したりすることがあるじゃない……」
谷川「うん、ぜんぶアタマから。だって詩は途中からは読まないでしょう。やっぱりアタマから読むものだからね。で、その読んでいく流れに沿って作っていくってことだよね」
HISASHI「でも、一般のウタモノっていうのは、たとえ詞が先にできていてもサビから曲をつけちゃうことだってあり得るじゃない」
谷川「だから、DiVaをやってわかったことは、歌の歌詞っていうものはある程度のシンプルさが必要なんだなってこと。"愛してる♪ 愛してる♪ 愛してる♪"って歌うだけで伝わるのが歌の強味であって、それをどんな言葉で婉曲に表現しようとしても、そのたった3つの歌の言葉に負けてしまうっていうことが、よくわかったんだよね。まぁ、べつに勝ち負けじゃないんだけどさぁ」
HISASHI「そういうことでは、歌詞の世界っていうのは言葉のそぎ落とし方というのもあるよね。それもまた職人ワザの世界なのかな」
谷川「だから、バッハの「マタイ受難曲」にしたって、"神様、神様""おお主よ、主よ"って、そればっかりなんだよね(笑)。それでもあれだけのものが成立するんだから」
HISASHI「"主よ、守りたまえ、守りたまえ"って(笑)」
谷川「でもその一方では、我々は"なにか新しいものが聴きたい"っていう欲求を持っているから、それを満足させる心に残るワンフレーズがあればね。心がホロってくるワンフレーズ……だから、僕は矢野顕子さんが好きなんだよね。言葉の使い方がうまいと思う」
HISASHI「そうだね。彼女の歌詞はある種、詩集として読んだ時も読めてしまう、みたいなものがあるものね」
谷川「ただ、僕はいまの日本の詩の世界で疑問に思っていることは、ちょっと才能があってかつ商売気のある人間はぜんぶ音楽の方に来てるってことだね。だから、意地を張って"文学の世界でやってこう!"っていう人を僕は応援しているし……"もう歌になんかしないでくれ!"っていう(笑)。でも歌にされると、みんな気持ちいいらしいんだよね(笑)」
HISASHI「(笑)……じゃあ、ポエトリーリーディングっていうのは、賢ちゃんの中ではどういう位置づけにあるわけ?」
谷川「その方面にそんなに頻繁に顔を出してるわけじゃないけど、やっぱりどうしても音楽に頼ってしまうということが問題だと思うな。リーディングにBGMが流れていると、それで作られる世界に酔っているっていうことがね。本物のリーディングというのは、やっぱり素であるべきだと、僕は思うけど……まったくサイレントで言葉を聞かせないとね」
HISASHI「過去に、叫ぶのがウリの人もいたけどね(笑)。果物系の名前のあの人(笑)」
谷川「いや、あの人は確かもう改名したんだよ」
HISASHI「いいニオイの果物になったとか……そういうことではないか(笑)」
歌い手の話になっちゃうんだけど、言葉が音を持った時に、
その表現者として歌い手に課せられることってすごく大きいよね
(HISASHI)
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谷川「それで、いきなり最上段に大ナタを振るっちゃうけど、やっぱりすべての音楽の表現で歌がいちばん強いんですよ。人はやっぱり歌が聴きたいんだよね。人間の声の力っていうのは偉大だしね。いくら一晩インストでがんばっても、最後に歌が出てくると歌に持って行かれちゃうからね」
HISASHI「そうなのかな?」
谷川「いや、僕はそれでものすごい悔しい思いをいっぱいしてきたからね。こないだも札幌でソロ・ピアノのコンサートをやったんだけどね。そしたら大学2年の女の子が、いきなり"歌わせください"ってやって来て……」
HISASHI「それで歌ったわけ?」
谷川「いや、それには伏線があってね。僕は"勝手には歌わせないよ。デモテープを聴いてそれでいいと思ったら歌わせるから"って言ったら、ほんとに送って来てさ……まぁ、技術的にはまだまだぜんぜんだけど、「死んだ男の残したものは」を歌っているんだよね」
HISASHI「なるほど、石川セリさんが歌っているよね」
谷川「あの曲はぜんぜん思い入れのない曲でもないし、"まぁ二十歳だし、舞台度胸がついていいのかな"って思って歌わせてあげたのね。そしたら、やっぱり曲の力が大きいのかなぁ? あの曲はベトナム戦争の反戦の歌なんだけど、谷川俊太郎と武満徹の名曲だと思っているからね」
HISASHI「うん、HISASHIも大好きだよ」
谷川「正直、客観的に見て彼女の技量は大したことないんだけど、"表現したい!"っていう気持ちと歌の力だよね。その瞬間、聴衆で泣いてる人もいたりしてさ、ちょっとまた悔しい思いをしたんだよね。"じゃ、俺が歌えばよかったかなぁー、俺の方がうまいかもしれない"みたいな(笑)」
HISASHI「賢ちゃんは歌いたい願望はあるわけ?」
谷川「あるある。だから、ときどきシークレットでやってますよ(笑)。やっぱり歌うとすごく場が和むよね」
HISASHI「それは自分の気持ちの中でもそう?」
谷川「そうね。それにお客さんに喜んでもらえるとうれしいじゃない」
HISASHI「でも賢ちゃんがインストで演奏している時に、自分の頭の中である種の言葉とかが浮かんでいることっていうのはあるの?」
谷川「ない! まったくないね。もし浮かんでいたら、それは演奏に集中していないことだからね。どんな編成だろうが、どんなソロだろうが……だた、歌の伴奏をやっている時に、その歌に対して"ああ、この歌はこういうことだったのか"ってことが、時々見えてくることがあって、それはすごいおもしろいよね」
HISASHI「なるほどね」
谷川「たとえば、吉田美奈子さんの歌詞って、正直あんまりわからなかったんだけど、「FORGIVING」なんて何回もやっていると“あっ、この曲はこういうことだったのか!ああ、いいな”って思える瞬間があるよね」
HISASHI「それはうれしいな。ちなみに「FORGIVING」は、HISASHIと賢ちゃんがよくデュオでやるHISASHIが愛して止まない美奈子姫の曲ですね。ところで、歌い手の話になっちゃうんだけど、言葉が音を持った時に、その表現者として歌い手に課せられることってすごく大きいよね」
谷川「それは、歌い手にとってのことでしょ」
HISASHI「自分のことで話しちゃうと、たとえばジャズのスタンダードを歌うっていうと、その原曲はミュージカルの曲だったりするじゃない。そうするとその劇中で歌われるシチュエーション、たとえばある村娘に恋をしてその恋心を歌うとかね。それで、ある年代の人たちにとってはそのミュージカル・ナンバーを聴けること自体がうれしかったりするんだよ。でも、HISASHIの中では、その曲を歌っても表現しようとしていることがぜんぜん違ったりもするんだよね。それはコール・ポーターが書いた歌詞を歌っていてたとしても、その歌詞をいま生きてる自分のフィルターを通したものとして表現しているつもりだからね。賢ちゃんとはおもにジャズをやることが多いけど、そこがジャズの歌のおもしろさだと思うんだ」
谷川「その想いはちゃんと聴いている人に伝わると思うよ。もうジャズのおじさん族も終わりじゃない?」
HISASHI「(笑)」
谷川「ねえ、もうバブルも弾けちゃってるしさ。たまにそれなりのジャズ・クラブに行くといまだに接待族の残党みたいなのが落ち武者のようにやってきたりするんだけどね。でも、大人しく聴いているよ。もうジャズもさすがに違うスタンスになってきていると思うけどね」
HISASHI「っていうか、そうなってこなきゃおかしいものね」
谷川「僕なんかがこの仕事を始めた時はまだね……"ジャズっていうのは、こんな進駐軍の影を引きずってやっているのか"っていうような気がしたけど、もうぜんぜん違うと思うんだけどね」
HISASHI「詞を支える、または曲を支える、演奏の技量というかスタイルも変わってきているものね」
谷川「その流れでべつに上げ足を取るってことではないんだけれど……」
HISASHI「いやいや、どんどん上げ足取って(笑)」
谷川「まぁ、僕っていう人間は常に振り子のように揺れているわけですよ。だから、言葉の世界にすごく没入する時と、その反面まったく言葉がなくても感激できることもあるよね。たとえば、フランス語シャンソンみたいに"なんとなくこんなこと歌っているんだろうな"っていう場合でも、それすらもわからないピグミー族の合唱とかみたいに、なんの意味かもわからない人声に対しても感動しちゃうわけじゃない。だから、音楽の許容範囲は大きいと思うんだよね」
HISASHI「そこが音楽のすごいところじゃない」
谷川「そう! 音楽のすごいところなんだよ。だけど、すごく身も蓋もないことを言えば、特に音楽はそうだと思うんだけど、もう新しい表現っていうのは出つくしているんじゃないの」
HISASHI「そうだね。それは前から賢ちゃんと話しているよね。だって、順列組み合わせから言ったら、いわゆる西洋音階でのリズムとメロディーの組み合わせはぜんぶ出つくしたと言われているしね」
谷川「それでも、人はなにか新しいものを聴きたいんだよね。これはもう宿命だからしょうがない。音楽作っている僕らだって悔しいものね、せっかく作った音楽が"ああ、これはここね"ってなにかの箱に入れられて捨てられちゃったらイヤだよね」
HISASHI「でも、ただ単純に新しい物、新しい物っていうふうにむかって行っているのでもないような気もするけど……」
谷川「そりゃそう。だって新しいものがなにか、っていうことはなにもわからないもの。でもそういう新しさを求めていくものと、もうすでにあるものとで、これもまた振幅しているわけだよね」
ジャズっていうのは僕の基礎語法だし、
いちばん好きな音楽だから、
ジャズに関してはそれぞれの違いが楽しいんだよ
(谷川)
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HISASHI「突然突拍子もないことを聞くけど、賢ちゃんはラップはどう思う? 日本でも昨今流行っているけどさぁ」
谷川「ぜんぜん、聴きません! わかりません! ぜんぜん聴いてないからさぁ(笑)」
HISASHI「そうなんだ(笑)」
谷川「だって、僕なんてDORAGON ASH止まりだもの(笑)。それでおしまい(笑)。正直ぜんぜん勉強不足。だから、HISASHIが知っていたら教えて欲しい」
HISASHI「もちろん僕もすごく興味があるっていうんじゃないけど、たまに耳にする機会があるじゃない。それで、ギャングスター気取りで街歩いているあんちゃんの戯言となんら変わりがあるのかな?と思うけど、いわゆるライム(?)の韻とか、リズムのひとつとして捉えたりすると、やっぱり“こいつのはどこか違うね”っていうのが時たまあるんだよね。なにが違うのか明確にはわかならいけど、“ああ、この人たちはプロなんだな”っていう違いは、なにか感じるところがあるんだけど、厳密に言うとそれはなんなんだろうね?」
谷川「それはHISASHIがラップを好きだからだよ」
HISASHI「エエッ?!」
谷川「だって、好きじゃなきゃ、そんな微妙な差異はわからないでしょう」
HISASHI「そうなのかなぁ?」
谷川「だって、ジャズを好きじゃない人に取っては、(ジョン・)コルトレーンも(ソニー・)ロリンズも同じかもしれないよ(笑)。違いがわかる楽しさでその音楽にどんどんハマっていくわけでしょ」
HISASHI「なるほど! 違いがわかるから、違いのわかる男としてコーヒーに凝ったりするわけかぁ・・・(失笑)」
谷川「だから、ラップに関しては俺はまったく違いのわからない男だからね(笑)。でも、刑務所に閉じこめられて1ヶ月聴けば違いがわかってくるかもしれないけど(笑)……そんな地獄な目に遭いたくないもの(笑)」
HISASHI「なんか居直ちゃってるね(笑)」
谷川「だって俺、オケだってわからないもの。でも、オケの方が違いがわかるな……」
HISASHI「オケって打ち込みの?」
谷川「いや、ベルリン・フィルとウィーン・フィルの違いとかさ」
HISASHI「ああ、クラシックのオーケストラね」
谷川「でも、たとえオケの違いがわかってもオケにはあまり興味がない、ってことがわかった。だって、コルトレーンとロリンズの違いの方が楽しいもの(笑)」
HISASHI「アレレ?! 作曲家の先生がそんなこと言っちゃっていいの?」
谷川「だって、クラシックに関しては、ひな鳥が最初に見たものを親って認識しちゃうように、最初に聴いた演奏が自分に取っては名演になっちゃってるわけ。だから、ある意味不幸だよね。たとえば「春の祭典」を最初に(エルネスト・)アンセルメみたいな爺さんの指揮で聴いちゃうと、もうまったりした演奏がそれこそ母親鳥だからさぁ(笑)、(ピエール・)ブーレーズとかのを聴くと、"なにコレ?! ごつごつで金属みたいな演奏は"ってなっちゃうもの(笑)」
HISASHI「ああ、それすごくわかるな」
谷川「だから、最初になにを聴くかはすごい大切だよね」
HISASHI「じゃあ、生まれた子供にロリンズばっかり聴かせていたらどうなるの? そういう子がコルトレーンを聴くと批判的になるとか……」
谷川「いや、ジャズっていうのは僕の基礎語法だし、いちばん好きな音楽だから、ジャズに関してはそれぞれの違いが楽しいんだよ。"あっ、こんなのある。こんなのもある"って……」
HISASHI「でも賢ちゃんが生まれた時に、もし親がロリンズばっかり聴かせていたらどうなっていたと思う?」
谷川「もし僕がジャズに興味がない人間だとしたら、それはそれだけのことで終わっていると思うよ」
HISASHI「じゃあ、賢ちゃんにとってロリンズは親鳥にならないんだ」
谷川「ならないよ。だから、クラシックとジャズの僕の中での明確な違いはそこにあるからね。僕はジャズって語法が好きだから……音色感とリズムとフレーズが……だからジャズはとどんどんどんどん楽しくなってくるんだよ」
HISASHI「そうか! それはクラシックを小さい頃に聴いていたとかじゃなくて、賢ちゃんの中にはジャズっていうものが先天的に存在するわけだ」
谷川「そうそう」
HISASHI「すごいなぁ! じゃあ僕は、そんなナチュラル・ボーン・ジャズ・ミュージシャンと一緒にやれていたんだ(笑)」
谷川「でも、みんな基本的にそうだと思うよ。だから、クラシック・ファンの人に取っては逆なんじゃないの。クラシックの微妙な差異がすごくおもしろくなっちゃって……」
HISASHI「なるほど、なるほど……」
谷川「だから、音楽に限らず人間の好奇心っていうのはそういうものだと思うけど……」
HISASHI「ところで、賢ちゃんは歌ものの詞を書くことはないの? これから先も」
谷川「ないね。ぜったいにない」
HISASHI「ぜったいに?」
谷川「ない。でも実はナイショだけど、いくつかはあるんだけどさ」
HISASHI「それは歌ものとして?」
谷川「歌ものとしてというか、まぁ日記みたいなものだよね。でも、それにメロディーをつけると気持ちイイーってヤツでさぁ(笑)。いや、世間様に発表するようなものじゃないよ。自分の中でぜんぜん作品として認識していないし、CDにするつもりもまったくないよね」
HISASHI「でも歌ってみたりはしたわけ?」
谷川「それはある」
HISASHI「それはどう? HISASHIはシンガーとして聴きたいんだけど……」
谷川「いや、楽しい! でも、娘がケガした子猫拾ってきた、みたいな歌だよ(笑)。恥ずかしい歌なんだけど、メロディー付けて歌うと思わず涙ぐんじゃう、みたいなさぁ(笑)。だから、もうレベルが違いすぎてね……でも、それでもいいと思うんだけど、それは自分だけのもので、人には聴かせないでいい」
HISASHI「でも、聴かせないまでも、誰かの声、誰かの表現で聴いてみたいということは思わないの?」
谷川「ああ、それはある。たとえば、こんな幼稚な歌だって、つい矢野(顕子)さんが歌ってくれたらいいかな、なんて思っちゃうよ」
HISASHI「まぁ、最終的にそこに帰結しちゃうんだろうね。「音楽と言葉」と言っても、最終的にはそれを表現する時の表現者の表現方法による、っていうことなのでしょうかね」
谷川「うん。さっきも言ったけど、やっぱり楽器はどうしても言葉を発する人声にはかなわないところがあるからね。声は偉大ですよ」
HISASHI「でも、ジャズではボーカルも楽器と対話しているわけだからね」
谷川「そうだね。音楽上の語法ということでね。ただ、よく酔っぱらってイントロを早く弾いちゃったり、リハーサルでやってたことと違うことで始めちゃったりとかも、よくあるけどね(笑)。でも、それをまたボーカルが切り返してきたりね(笑)」
HISASHI「ちょっと待って! あれは語法だったの? ああ、誤った方法つまり誤法?(笑)」
谷川「いや、違う。言葉の方法の語法。やっぱりそういうのが"コール&レスポンス"というのかな……いちばんジャズの楽しいところだよね」
HISASHI「そうだね。賢ちゃんとはもう長いこと一緒にやってきているから、互いによくわかっているし、これからも音楽で楽しく会話していきたいよね」
企画・協力:有限会社SERPENT 取材協力:TAM office
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