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前回に続いてERP(基幹業務統合パッケージ)というシステムについてご紹介します。
前回のコラムではERPというシステムの特徴を
1.パッケージシステム
2.業務統合システム
3.ビジネス設計のモデル
という切り口でご紹介しました(第5回のコラムを参照ください)。
今回はその続きで、ERPシステムの特徴について触れてゆきます。
<特徴4:リアルタイムシステム>
ERPは1システム内で会社内の全業務処理をおこなえる特長を持っていますから、処理はリアルタイムでおこなうことが前提となっています。
このリアルタイムで処理されることの重要性(メリット)は限りなく大きいものになります。
皆さんの中で、会社の情報管理について、たとえば"在庫は昨日の夜の情報しか見えない"というような悩みを抱えている人も少なくないと思います。
ERPでは全ての情報がリアルタイムに処理されますから、システムの中にある情報は今のこの瞬間の情報が得られているのです。そして、その情報とは会社のあらゆる管理情報になります。たとえば
■ どの製品がどのくらい売れているのか。今日の生産はあとどのくらいされるのか。利用で
きる在庫残などは今現在の情報として見ることができる。
■ どの材料が生産量に対して不足している、発注の納期変更確認など、状況変化に対して
どう対応すべきかの情報を見ることができる。
■ 本日の出荷予定量、結果としての出荷量、出荷できなかった量など、市場に対する供給
状態の最新情報を見ることができる。
などなど言い出したらきりがないのですが、とにかくさまざまな情報がERPによって、リアルタイムで管理できるのです。
さらに物を動かす処理、たとえば発注したものを入庫する、受注に対して出荷するなどの処理をおこなうと、かならず会計仕訳を同時に処理する仕掛けになっています。
ゆえに会計上処理と実際の物の動きがかならず整合していることになります。
<特徴5:事実の投影システム>
これはリアルタイムシステムの説明の延長になるのですが、物の動きをシステムに入力するまで(現場での作業実績をシステムへ入力するまで)のタイムラグはあるものの、ERPは会社の正しい情報を保持しているものと位置づけられます。それは、ERPが物流や在庫管理だけでなく、会計情報も同時に保持しているということからご理解いただけると思います。
企業内で起こっている事実を把握することは、大きな企業であればあるほど難しくなってくるものですが、ERPはその問題は解消してくれる管理システムなのです。
企業情報というものは、現場で1枚の伝票に記録された作業の進み具合など一番詳細な情報を積み上げて作られているものです。しかし、ERPにアクセスし、そこからの情報の取り方さえ知っていれば、たとえ社長であっても、ERPによって現場での1枚の伝票作業の内容まで、企業内のすべての情報を把握することが可能になります。
しかも、その情報の時間的な範囲は
■ これまでの過去の実績情報。
■ 今現在の企業内情報。
■ 将来の予定、計画情報。
という3種類の情報ということになります。
そして、これらERPにある情報は、企業内の事実(正確な情報)といえます。
これらが1システム内に保持されているのですから、情報さえうまく活用できればその価値は計り知れないものになります。しかし、今現在すでにERPを導入した企業の多くはこの情報の活用法について頭を悩ましているようです。
これは私の個人的な印象ですが、こういった傾向からは、"デジタルな情報を自らの判断でいろいろ分析することを苦手とする"という日本人の特徴がよく現れている気がします。
<特徴6:マネージメントシステム>
いままでERPの特徴として説明してきた"各業務の業務プロセスをすべて統合し、リアルタイムで処理する"ということは、業務の処理を流れの合理性、正確性、スピードを理想的な形にできるということです。しかし、それだけでは企業の経営管理そのものに大きなメリットをもたらすものにはなりません。
やはりERP導入がもたらす最終的なメリットは、いままで説明してきたERPの1~5の特徴によって、企業の経営管理そのものも効率化できるということにあると言えます。
実際にERPが、経営管理そのものにメリットをもたらすものになるためには、実業務の中で起こっているさまざまな状態を詳細なレベルで管理できることが大きなポイントとなってきます。そして、そうなるためには、これまでのコラムで述べてきましたように、管理するプロセスを作り上げることが大切です。ERPは、その基盤として大きな役割を果たすものと考えられます。
ですから、各ERPベンダーが出している製品によって細部は異なるでしょうが、この5つの大きな特徴を兼ね備えているものが優秀なERPと呼べるのではないでしょうか。
ただし、この5つの特徴も、以下の点に気をつけないとその機能も活かせないことにとなります。
1.現場で正確に即時に情報を入力すること
当たり前の話ですが現場でものを購入した、生産した、出荷したなどその実績をシステムに正確に入力できなければ意味がありません。
2.マスタデータの正確性
システムである以上マスタデータは必須のものになりますが、そのデザインや入力項目などがその管理レベルに合わせて正しくセットアップできなければ、各管理情報も正しく表示できません。
3.情報の活用
現場で運用する際には、ERPに保持されている情報をどのように活用すればその効果が得られるかをよく考える必要があります。先ほども触れましたが、これまではERPを導入し業務の処理はうまく流れるようになったが、情報の活用がうまくできていないという企業が多く見受けられるようです。
5年前、10年前に比べればERPへの理解度は、日本国内でもずいぶんと広がりました。しかし、まだまだその本来の価値を見出すまでの成果を上げた企業は少ないようです。
ERPのメリットを100%生み出すためには、導入を請け負うコンサルティング会社の問題、ERPを導入する企業側の姿勢、またERPベンダーの姿勢などなど、まだまだ課題は多いのではないでしょうか。
しかし、真の実力を発揮すれば理想的な企業管理システムになり得るERPという製品そのものの付加価値が大きいことは確かです。
従って、ERP導入に際しては、導入プロジェクトのハンドリング、あるべき姿のデザインなどしっかりしたマネージメントを行う必要があるでしょう。
中山和治 プロフィール

1968年生まれ。1991年に外資系タイヤメーカーに入社し、IE(インダストリアル・エンジニアリング)をベースとした社内コンサルティング部門に所属。以後工場内のレイアウト、機械/作業研究、在庫保管場所設計、JIT方式導入、工場内物流のデザインをなど担当。
その後物流部門にて、国内物流設計、営業所在庫配置基準設計意などを担当。
1996年にSAPジャパンに入社。生産管理コンサルティング部門所属。2001年よりSCMコンサルティングマネージャーになる。

2006年4月:マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社を設立。
取締役副社長に就任。

<コンサルティング実績>
重工業、電気メーカー、電子機器メーカー、食品メーカーなど製造業システム導入および業務改革,システム活用改善など。
SCM(サプライチェーン・マネージメント)診断、ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)活用診断の実施。

<マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社のサービス>
ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)の有効活用を基本とした、コンサルティングサービスを展開します。
日本企業のERP導入に関して、その効果を見出せていないという不満を解消すべく、ERPの導入目的、人材教育、実際の活用状態、改善ポイント、改修プロジェクトの仕切りなどを請負うコンサルティング会社です。
今後日本における製造業のサプライチェーンを中心としたマネージメント方法の課題に着目し、コンサルティングを行っていきます。

<会社概要>
名称 : マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社
所在地 : 東京都中央区日本橋富沢町5-3 I.B日本橋ビル303
資本金 : 1000万円
代表 : 代表取締役社長 巻幡雄毅
事業内容: 経営コンサルティングを中心とした会社運営、および業務の合理化、効率化のサポート
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