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「BPR」というアルファベット3文字言葉を聞いたことがありますか? これは「ビジネス・プロセス・リエンジニアリング」を表すものです。
このBPRは、一昔前にはいろいろなところで耳にした言葉でした。そして、今も決して忘れ去られてしまったわけではありません。今現在でも、このBPRに取り組んでいる企業も多いのではないでしょうか。
この言葉を初めて聞く方のために簡単に解説しておきますと、BPRとは企業の業務処理プロセスのシステムを根本的に見直して、経営効率を高めることを目的に設計しなおすことを言います。つまり、年月が経って老朽化し住みにくくなった家をリフォームするようなイメージです。
企業が日常業務の中で行っている個々の処理(たとえば見積、受注、出荷指示、出荷、請求など)の中には、意外に無駄な部分があったり、本来必要な部分が抜けていたりすることが多いものです。そこである部門のやりやすいプロセスだけが優先されて業務処理システムが設計されている根本的原因を解消するため、隣の部門に負担がかかっていたり、経理上矛盾が起きていたりするなどの無理や無駄をなくすために、全体的な観点からシステムを見直して効率のいいプロセスに再設計するというものです。
BPRを推進する時、その企業の中のある部門の方で、 "今の何がいけないのか、このままで十分うまくいっている"と思われる方もおそらく大勢いるのではないでしょうか。
しかしそれでも、全体的な観点ではやはり変えていった方が業務効率およびシステムの効率が上がるという考え方を前提にして一度見直す、考え直すという行為は、決して無駄ではないと思います。
私の経験で、以下のような企業がありました。
1. 受注という概念がない会社。
営業情報システムがあり出荷指示システムが存在していました。そして、営業情報システムに、営業員が生産側への情報を渡すために、注文が確定しているかどうか問わず顧客からの注文情報を入力するようになっていました。また出荷システムでは、顧客に確実に請求できることさえ確認できていれば、営業情報システム側に情報を入力しているかどうかを問わずに出荷指示を出している状態がありました。
すなわちこれは、注文を受けているかどうかの定義なしに出荷することができる業務プロセスということになります。
つまり、注文が正式に成立しているかどうかの定義がないので、生産後にどこにも出荷できない状態が起こったり、ある営業員が正式な注文を受けているのに他の営業員の出荷指示で、そのための在庫が横取りされてしまったりで、受注/出荷プロセスにおいて組織的な威力を発揮できていなかったのです。
2. 販売部門、生産部門、購買部門のおのおので計画を立案している会社。
生産部門は"販売計画をあてにしたら欠品だらけになる"と言い、購買部門は"生産計画をあてにしても常に変更で振り回される"と言い、けっきょくシステムがバラバラの計画で動いている状態でした。その結果、販売部門の必要としない製品在庫や、生産部門が必要としない材料など無駄に残るものが生まれていたのです。
BPRでは、このような無駄の多い状況を改革するために、一度白紙に返って、他部門との関係を考慮しながら企業全体としてどのような形が最適な処理の流れなのかを描き、それを業務処理システムのデザインに置き換えるまでの一連の作業を行います。
しかし、何が無駄で、どのような形が最適な処理の流れなのかを考慮してデザインを描くことは非常に難しいことです。部門間では"こちらから見ればあちらが問題なのでこうして欲しい"と言い、あちら側はまた違う意見やリクエストを言うので、喧嘩のあげくに結論が出ないということもおおおうにしてあります。
このような状況を打開するためには、最適な業務処理フローをデザインできる第三者の意見を取り入れるために、外部のコンサルティング会社を利用して設計を行うことがいい方法と考えられます。
また前回、前々回でふれたERPパッケージ・システムを採用し、そのシステムに自社の業務プロセスを合わせることで処理フローを再設計する企業も多いようです。現在ERPパッケージのニーズが高いのは、企業としてBPRを行ったという結果からそうなっているという印象もあります。
さて、このBPRという活動を行った結果、本当に企業の効率は高まったのでしょうか? つまり、業務プロセスを本来あるべき姿に変えることで、企業のビジネス効率は改善されたのでしょうか? しかし、残念ながら"これまで以上に業務がやりにくい、前のほうが良かった"という意見をよく耳にすることも事実です。
その場合は、たぶん単にERPを導入しただけだったとかいった表面的な改革だけで、実際はシステムの内容は改革とは程遠いものになっているような気がします。
BPRの本質は、業務プロセスを改革する中で、その企業の管理能力(マネージメントパワー)を向上させることであると私は考えます。
その根底のひとつには、プロセスの無駄を省き、必要な機能の追加することがあるかも知れませんが、それは管理能力を向上させる一要因に過ぎないと思うのです。
"管理することとは何か"という問題の結論が、今回のBPRとは何かということの結論につながります。
ERPとかBPRとかいろいろな言葉が生まれてきますが、企業の経営効率を上げるその中核にあるものは、管理能力を上げるということが大きな柱となっていることは確かなのです。
この連載コラムのはじめのほうにさかのぼって目を通していただければ、管理することの基本をご理解いただけると思います。
BPRという言葉に惑わされて投資を行い、結果として意味の薄い業務システム設計を行わないよう"管理する"という側面で業務を考えてみてください。管理する立場で、現在の業務システムを見直していくと、何かが見えないことがあると思います。
それを見えるようにする、その結果として何が問題かを把握する、そしてその問題の原因を洗い出して、その対策を講じる、というような基本な活動を業務全般に渡ってやっていくことが、本当の意味でのBPRではないのでしょうか。
中山和治 プロフィール

1968年生まれ。1991年に外資系タイヤメーカーに入社し、IE(インダストリアル・エンジニアリング)をベースとした社内コンサルティング部門に所属。以後工場内のレイアウト、機械/作業研究、在庫保管場所設計、JIT方式導入、工場内物流のデザインをなど担当。
その後物流部門にて、国内物流設計、営業所在庫配置基準設計意などを担当。
1996年にSAPジャパンに入社。生産管理コンサルティング部門所属。2001年よりSCMコンサルティングマネージャーになる。

2006年4月:マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社を設立。
取締役副社長に就任。

<コンサルティング実績>
重工業、電気メーカー、電子機器メーカー、食品メーカーなど製造業システム導入および業務改革,システム活用改善など。
SCM(サプライチェーン・マネージメント)診断、ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)活用診断の実施。

<マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社のサービス>
ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)の有効活用を基本とした、コンサルティングサービスを展開します。
日本企業のERP導入に関して、その効果を見出せていないという不満を解消すべく、ERPの導入目的、人材教育、実際の活用状態、改善ポイント、改修プロジェクトの仕切りなどを請負うコンサルティング会社です。
今後日本における製造業のサプライチェーンを中心としたマネージメント方法の課題に着目し、コンサルティングを行っていきます。

<会社概要>
名称 : マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社
所在地 : 東京都中央区日本橋富沢町5-3 I.B日本橋ビル303
資本金 : 1000万円
代表 : 代表取締役社長 巻幡雄毅
事業内容: 経営コンサルティングを中心とした会社運営、および業務の合理化、効率化のサポート
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