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更新日
2006
年
3
月
9
日
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第9回 「管理行為と姿勢について」
マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社
取締役副社長 中山和治
今回のコラムではよく実業務で見られる、管理責任者の行為について考察し、管理・統制を行う姿勢について考えてみたいと思います。
そもそも企業の経営力を要素分解すると
1.営業能力
2.供給能力
3.管理能力
の3本柱に分かれると言えます。これはどの業界でも同じでしょう。
1は簡単に言えば受注能力です。
いくらいいもの(サービス)を発明、開発しても注文を取れないようでは企業は成り立ちません。またその逆で営業能力があっても、供給するもの(サービス)が悪い、つまり
供給能力が低ければ信頼を失います。
さらにいえば、この2つがあっても目標に向かって活動を統制する能力、すなわち
管理能力を持たなければ、組織としての能力(チームワーク)のよる総合的な威力を発揮できないと考えられます。
今回はいくつかのケースを挙げ、それを考察してみましょう。
ケース1
学生時代に体育会関連の部活動を行った方は経験があると思いますが、練習などでヘバッた時に、先輩やコーチ、監督などから"しっかりやれ! もっと腰を入れろ! 気合を入れろ!"などの激を飛ばされることがよくあります。それによって頑張ることができた、さらに踏ん張ってキツイ練習を乗り越えられた、などの結果があったとしましょう。
この先輩やコーチによる"激を飛ばすことで他を動かそうとする行為"は管理行為なのでしょうか?
ケース2
ある会社での話。常連の重要顧客から納期的に難しい注文が入ってきました。その注文に対して営業責任者としては、お得意さんでありいい金額の仕事なので、もちろんOKです。生産側の責任者も事情を理解すると、すぐにOKを出しました。そして、その責任者は朝の朝礼で鶴の一声"何とかしろ!"の一言。現場は大混乱で毎日残業、全員休日返上でなんとか納期に間に合わせました。
この鶴の一声は管理する側としての特権であるかもしれないが、本当に管理行為なのでしょうか?
ケース3
ある倉庫担当者の話。入庫/出庫数量を確認してシステムにその数量を入力すると、それによって工場全体が在庫数量を知ることができます。ところが、この担当者は週に一度は入力を間違います。そのたびに上から叱りを受けるのですが、それでも週に一度のミスは変わらない。"これでは在庫数量をしっかり把握できない"ということで、担当者を変えました。しかし、それでも間違いはなくならないのです。やはり週に一度から月に一度のペースで入力ミスは起きます。管理者はそのたびに大きな声を出すのですが、状況は変わらないのです。
入庫・出庫を管理するという意味において、この管理責任者は大きな声を出し続けることが管理をすることなのでしょうか?
皆さんの中で、上記の例にあたらずとも遠からずの経験をされた方は少なくないと思います。それは管理する側の感情的な部分を部下にぶつけているだけで、なすすべがない時の最後の手段と考えられます。
"何とかしろ!"や"しっかりやれ!"とう言葉は管理・統制を行う際のシステム的な機能は果たしません。
スタッフにただ精神的なプレッシャーを与えることで緊張感を持たせるのみの心理作戦にすぎません。管理・統制システムが存在することを前提に考えれば、精神的プレッシャーはある程度は必要なことかもしれません。しかし、それがない場合は単なる精神論でしかありません。結果的に管理・統制を強化し組織力を挙げることにはつながらず、むしろモチベーション(やる気)を損なうこともあります。
人は基本的に間違えるもの、忘れるもの、均等な動きが出来ないもの、という前提で、それをふまえた上で仕掛け(システムを)を作り上げることが、管理された状態といえるのです。
例えば、"xxが起こらないようにyyをする"のように、あらかじめxxが起こることを想定し、確率的にそれが起こらないようにyyの状態を作ることです。つまり、ある交差点で交通事故が多発した場合、そこに信号機をつける、ミラーをつける、どちらかを優先通行にして片方に止まれの標識をつけるなどの行為です。これは立派なシステム化で、管理された状態と呼べるでしょう。
ケース4
今度は、ある工場における人間の動きについての例です。ある生産現場でAポイントからBポイントまで移動が必要な作業があります。その移動は20mくらいですが、8時間の作業の中で何往復も繰り返す必要があります。その移動時間は作業員によって非常にまちまちで、さらに同じ人でも、その日の気分によってまちまちになることがあります。
生産性を高める意味で、その移動時間を早くさせる、または一定化させる方法を考えてみます。
先ほどの例のように、早く歩け!と活を入れたところで、結局本質的な成果は見られないでしょう。
図1.歩行による移動
図2.AからBへの歩行時間測定結果
管理を行う側としては、例えば、「この作業に何人必要なのか?」、「原価としてはどのくらいを見込めばいいのか?」など、しっかりと計画を立てなければなりません。通常計画を行う際には平均値を使うことが多いと思います。
しかし、表1ように仮にAさんとBさんの移動時間を調査して、その結果から平均値を導き出したとしても、実際にはその平均値の意味はほとんど無いことがおわかりでしょう。
平均値は計算上使用する基準値ですが、結局実態を反映した形になりません。
これは実態が属人的であると言え、
つまり、この状態では真に現場を管理・統率できているとはいえません。
そこで、この移動に関してはコンベアを導入し、表2のように機械仕掛けにすることで移動を均等にしてしまうという策が取られました。
図3.コンベアーによる移動時間の測定結果
これによって、誰がやってもいつやっても移動という作業が均等になり、後はその平均値を上げるには、システムとしてどうすればいいか(コンベアのスピードを上げるために何が必要か)にかかわってきます。
このように管理するという行為は、精神論でなく、またただプレッシャーをかけるだけでもありません。
何かが起こらないようにする、忘れないようにする、均等な活動が出来るようにするための仕掛けつくり(システム化)することであるということです。
皆さんの身の回りで、単なるプレッシャーのみで成果を出そうとしている風習や傾向は無いですか?
中山和治 プロフィール
1968年生まれ。1991年に外資系タイヤメーカーに入社し、IE(インダストリアル・エンジニアリング)をベースとした社内コンサルティング部門に所属。以後工場内のレイアウト、機械/作業研究、在庫保管場所設計、JIT方式導入、工場内物流のデザインをなど担当。
その後物流部門にて、国内物流設計、営業所在庫配置基準設計意などを担当。
1996年にSAPジャパンに入社。生産管理コンサルティング部門所属。2001年よりSCMコンサルティングマネージャーになる。
2006年4月:マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社を設立。
取締役副社長に就任。
<コンサルティング実績>
重工業、電気メーカー、電子機器メーカー、食品メーカーなど製造業システム導入および業務改革,システム活用改善など。
SCM(サプライチェーン・マネージメント)診断、ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)活用診断の実施。
<マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社のサービス>
ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)の有効活用を基本とした、コンサルティングサービスを展開します。
日本企業のERP導入に関して、その効果を見出せていないという不満を解消すべく、ERPの導入目的、人材教育、実際の活用状態、改善ポイント、改修プロジェクトの仕切りなどを請負うコンサルティング会社です。
今後日本における製造業のサプライチェーンを中心としたマネージメント方法の課題に着目し、コンサルティングを行っていきます。
<会社概要>
名称
:
マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社
所在地
:
東京都中央区日本橋富沢町5-3 I.B日本橋ビル303
資本金
:
1000万円
代表
:
代表取締役社長 巻幡雄毅
事業内容:
経営コンサルティングを中心とした会社運営、および業務の合理化、効率化のサポート