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更新日
2006
年
4
月
20
日
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第11回 「こんなことがありました(1)」
マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社
取締役副社長 中山和治
今週からはこれまでの私のコンサルティング経験でおもしろい話を例にあげ、ERPシステム(根幹業務統合パッケージシステム)の本来のあるべき理想の姿のお話をしてみようと思います。
<その1>
ある日私は、受注システム運用のお話を営業管理職の
A氏
とその部下の
B氏
から聞くことになりました。
何でもS社のERPパッケージ・システムを高額の投資をして導入したが、管理職のA氏は
"自分はまったく使っていないし、何が良くなったのかまったく分からない"
と言い、部下のB氏は、
"使いづらくて、結局エクセルなどの別紙で管理しなければならないことが沢山あり、面倒になっただけです"
との感想でした。
以下その話をさらに深く聞きました。
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B氏:
なにせ、ERPは
"リアルタイム統合システム"
なんてかっこいいことを言っているけど、
現実の業務の世界では通用しないのではないか
と思います。なぜなら、例えば受注伝票を私が入力しますよね。でも、
そこには顧客の納期を正直に入れられませんよ!
入れたら大変なことになりますからね。
私(中山):
なぜ正直にシステムに納期を入力できないのですか?
B氏:
ERPはシステムとしては非常に良くできているため、顧客の指定納期から輸送にかかる日数を差し引いて、工場出荷日付を生産サイドに渡すようになっています。要はその日付が生産計画を立案する大元となる日付になるんです。本当にそのスケジュールで生産に使われたことを想像してみてください。製造業ではその工程の能力や材料の手配の状況などから、仕上がりが2,3日遅れるなんてことは頻繁に起こることなんですよ。でも、ERPシステムのおかげで、そのたびに納期遅れを起こしていたら顧客の信用をなくして、大変なことになりますからね。
私:
それで実際にはどのように運用しているのですか?
B氏:
顧客の納期を入れる項目に実際の顧客の指定納期から5日早い日付、例えば指定納期が6月30日だったら、"6月25日"として入れておくんですよ。そうすれば、工場の方で仕上がりが2,3日遅れても、私の方には5日の余裕があるから納期は守れるわけです。営業担当者は皆そのように入力していますからね。まぁ、人によっては10日とか15日とか前倒ししている人もいるようですよ。
私:
生産側はなるべくその納期(工場出荷日)に合わせようとして計画を立案していると思いますが、おそらく営業の方が前倒しで入力していることも知っているんでしょうね。
しかし、システムに入力された日付に合わせて生産を終わってしまうと、前倒しで入力した日付の分だけ、在庫として出荷待ちの状態になりますよね。もし全体的にそのようなやり方が普及しているのであれば、常に5日から10日くらい在庫として待ち状態のものがあるわけですから、実際は工場在庫がその分だけ上乗せされていることになるのではないでしょうか?
B氏:
しかし、在庫の問題よりお客様第一ですから。
私:
ところで、Aさんへ質問です。あなたの部下の営業の方たちはみんな、実際の納期ではない納期をシステムに入力しているということですが、納期を管理する立場のあなたは本当の納期を知る必要があるときはどうしているのですか?
A氏:
当然ながらその営業担当者に聞くことになります。
私:
では重要な質問です。今日の今の時点で、納期遅れを起こしている注文をどのようにして知ることが出来るのですか? あなた自身が自力でそれを見つけることが出来ますか?
A氏:
うーん、出荷できない状態になったら、現場から連絡がきますから……大丈夫です。
私:
では明日、納期遅れを起こしそうなものを探すことは出来ますか? 例えば今の時点で在庫が無く、生産ラインの方からの入庫予定も変更になってしまっているようなものを自ら探し出すことは出来るのですか?
A氏:
それは私自身では無理ですが、部下に作らせればそのような情報は手に入れられますよ。
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上記の会話は事実としてあった経験です。
ERPはそもそも管理する立場の人間が自ら何か問題を探し、事前に対処するためのコンセプトで運用されているものです。
ですから、販売/出荷、生産、購買、在庫などの総合的な観点でリアルタイムな情報を手に入れることが可能で、その中から問題点を探し出し、その問題に対処できるからこそ初めて大きな価値を生むものなのです。
システムを導入しても、そのシステムが何かしてくれるのを待つだけでは、上記のA氏のように、何もしてくれないシステムに見えるかも知れません。しかし、
自ら積極的に管理する意思を持ったときには、ERPその支援ツールとして最高の相棒になってくれるでしょう。
実際に業務を担当している方たちは、その業務をどのように回してゆくかという観点で、業務システム構築の際にはいろいろな意見を出すことが非常に多いと思います。
しかし、
管理する立場の人がそれぞれの視点でシステムに何を求めるのかによって、ERPが大きな価値を出すか、そうでないかの分かれ道になってきます。
ですから管理するという視点で、あなたには何が見えていたらいのかという具体的な意見を持っていてください。たとえERPの場合だけでなくても、あなたのたった1つの要求が会社組織の管理力を向上させるキッカケになる可能性も十分にあるのですから。
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中山和治 プロフィール
1968年生まれ。1991年に外資系タイヤメーカーに入社し、IE(インダストリアル・エンジニアリング)をベースとした社内コンサルティング部門に所属。以後工場内のレイアウト、機械/作業研究、在庫保管場所設計、JIT方式導入、工場内物流のデザインをなど担当。
その後物流部門にて、国内物流設計、営業所在庫配置基準設計意などを担当。
1996年にSAPジャパンに入社。生産管理コンサルティング部門所属。2001年よりSCMコンサルティングマネージャーになる。
2006年4月:マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社を設立。
取締役副社長に就任。
<コンサルティング実績>
重工業、電気メーカー、電子機器メーカー、食品メーカーなど製造業システム導入および業務改革,システム活用改善など。
SCM(サプライチェーン・マネージメント)診断、ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)活用診断の実施。
<マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社のサービス>
ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)の有効活用を基本とした、コンサルティングサービスを展開します。
日本企業のERP導入に関して、その効果を見出せていないという不満を解消すべく、ERPの導入目的、人材教育、実際の活用状態、改善ポイント、改修プロジェクトの仕切りなどを請負うコンサルティング会社です。
今後日本における製造業のサプライチェーンを中心としたマネージメント方法の課題に着目し、コンサルティングを行っていきます。
<会社概要>
名称
:
マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社
所在地
:
東京都中央区日本橋富沢町5-3 I.B日本橋ビル303
資本金
:
1000万円
代表
:
代表取締役社長 巻幡雄毅
事業内容:
経営コンサルティングを中心とした会社運営、および業務の合理化、効率化のサポート