悩み解決サークル

更新日2006712
企業管理のお悩み解決! プロ直伝の管理術

第15回 「需要予測について」

マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社
取締役副社長 中山和治



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今回は「需要予測」ということについて述べたいと思います。
販売管理や生産管理を行う中では、需要予測の必要性が認められると思います。この需要予測ですが、人によって受ける印象がずいぶん違うようですね。
私が企業の方に需要予測の話しをすると、

「いや、うちの生産や販売(管理)は需要予測では当たらないからね」

と言われるケースがあります。

「でも見込み生産の形態をとっている以上、需要の予測は誰かがやっているんですよね」

と切り返すと、

「職人の経験とカンですよ」

と言われるので、

「それが御社の需要予測なのです。でも、いずれその職人の方がいなくなったらどうします?」

と問いただすと、

「そうなんですよね」と流されて、たいていそこで会話が終わります。

@需要予測の位置づけについて

需要予測は管理活動の中においての計画立案時のテクニックの1つです。しかも、あくまでも客観的な何らかの根拠に基づいた将来の予測テクニックといえます。しかし、そのテクニックを利用して導き出した数字を、そのまま会社の計画にしてしまうというのはおかしな事なのです。

計画はあくまでも企業の目標であると位置づける必要があるでしょう。例えば、見込み生産における販売計画立案において需要予測=販売計画とはなりません。
それが時々、需要予測=販売計画と誤解されて、「需要予測は当たらないから」という発言が出るのだと思われます。


例えば、需要予測の結果、今後の販売は右下がりになるということも十分にあり得ます。そのまま放っておくと本当に会社の販売状況が悪化し、在庫を処分しなければならなくなります。

そんな場合、需要予測の結果から何らかの対策を練って、悪い状況をリカバーする方法を取り込んだ計画を立案する必要があるのではないでしょうか。

A需要予測の方法(統計的需要予測手法)

ここで見込み生産における需要予測を行う方法について解説します。

需要予測には何らかの客観的データが必要ですが、これを利用して行う需要予測を「統計的需要予測」といいます。

●需要予測に必要なデータ
1.受注実績または出荷実績
2.その他の要因データ(気温、天気、株価、金利などの要因)


1が必要になるのはなんとなく理解いただけると思います。

難しい言葉ですが、1を利用して行う統計的需要予測のことを「単変量予測」といいます。

2のその他の要因データを加えて予測する方法を
「多変量予測」といます。


統計的と言うくらいですから、1であれ2であれある"計算式"を使って予測を導き出すため、出てきた数字は客観的という位置づけになります。
ここでは1の単変量予測における計算をご紹介しておきます。

a:平均モデル
統計計算としては将来に対して横一直線の結果を出します。この中にもいくつかの方法がありますが、要は過去の数字を平均する方法ですので、結果は……
a:平均モデル

b:傾向モデル
過去の数字の傾き傾向を計算の考慮に入れて結果を出す方法です。右上がり、右下がりかは過去の傾向により導き出されます。
b:傾向モデル

c:季節モデル
何らかの周期的なサイクルでの特性が存在する場合、そのサイクルを考慮に入れて計算、予測値を導き出す方法です。月の属性、週の属性、四季の属性などが考えられます。
c:季節モデル

d:季節傾向モデル
これはbの「傾向モデル」と、cの「季節モデル」の両方の特性を持ち合わせていると判断されたモデルです。要は季節に傾きを持たせた結果を導き出します。
d:季節傾向モデル


いずれのモデルを選択するかは、結局は戦略的な見地に立った上での選択が必要になります。過去データの分析と、この先の計画の考え方(意思)をしっかりと持った上で統計的な需要予測を行う必要牲があるといえるでしょう。

B需要予測から販売計画へ

先ほども述べたとおり、需要予測は客観的なデータを基に予測手法によって導き出されるものですので、時には下記のように悪い結果も出てきます。
需要予測から販売計画へ

その結果を受けていくつかの意思決定を行っていく必要が生まれるという意味においては、管理プロセスの中の1つの活動といえる"計画のプロセス"が、需要計画の立案につながっていくものであるといえます。

例えば、下記の赤、緑、青の選択例を挙げます。
赤、緑、青の選択例
赤の場合: 現在対象となる製品の在庫が非常に多く、何とかここ半年で売り切りたい場合、右下がりの予測を改善する1つの方法として、"価格を下げる"などの意思決定をし、売上げの向上を狙います。
ただし、これは利益を犠牲にますので、やはり近い将来その製品をあきらめるとなるでしょう。
 

緑の場合: 予測結果をそのまま受け止め、これを計画として採用するという選択もあるでしょう。
この場合、結果としては需要予測=販売計画となるのですが、"この計画を選択する"という意思を加えてのことになりますので、冒頭で申し上げたこととは意味が異なるといえます。
 

青の場合: 右下がりの状態によっては、"その製品はもう販売計画から外し生産も停止する"という選択もあるでしょう。当然この場合が採用できるのは

@在庫は常に最低限に抑えている
Aリカバリーとしての製品がある
B新製品投入ができる


などの状況が整っている必要があるでしょう。
 

今回は需要予測の位置づけとその利用方法を解説してきました。
見込み生産の形態をとっている製造業では結局誰かが需要予測を行っています。

しかし、それを人の経験や勘に頼った方法として残したままにしておくと、組織力という観点で問題があります。

まずは統計的需要予測の方法論を理解していただき、少しずつ導入していく方向を考えられてはいかがでしょうか?




中山和治 プロフィール

1968年生まれ。1991年に外資系タイヤメーカーに入社し、IE(インダストリアル・エンジニアリング)をベースとした社内コンサルティング部門に所属。以後工場内のレイアウト、機械/作業研究、在庫保管場所設計、JIT方式導入、工場内物流のデザインをなど担当。
その後物流部門にて、国内物流設計、営業所在庫配置基準設計意などを担当。
1996年にSAPジャパンに入社。生産管理コンサルティング部門所属。2001年よりSCMコンサルティングマネージャーになる。

2006年4月:マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社を設立。
取締役副社長に就任。


<コンサルティング実績>
重工業、電気メーカー、電子機器メーカー、食品メーカーなど製造業システム導入および業務改革,システム活用改善など。
SCM(サプライチェーン・マネージメント)診断、ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)活用診断の実施。

<マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社のサービス>
ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)の有効活用を基本とした、コンサルティングサービスを展開します。
日本企業のERP導入に関して、その効果を見出せていないという不満を解消すべく、ERPの導入目的、人材教育、実際の活用状態、改善ポイント、改修プロジェクトの仕切りなどを請負うコンサルティング会社です。
今後日本における製造業のサプライチェーンを中心としたマネージメント方法の課題に着目し、コンサルティングを行っていきます。

<会社概要>
名称マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社
所在地東京都中央区日本橋富沢町5-3 I.B日本橋ビル303
資本金1000万円
代表代表取締役社長 巻幡雄毅
事業内容:経営コンサルティングを中心とした会社運営、および業務の合理化、効率化のサポート