映画に注ぐ情熱はマンガ以上(?!)。マンガ家としてヒット作を連発する一方で、映画大好き人間として知られる神崎将臣氏。映画好きがこうじてハリウッド映画をプロデュース、今年は初監督作品「PRESS BAN」を発表するなど、映像クリエーターとしての顔も持つ氏が、監督の意図が誤解されていたり文化の違いなどから正しく理解されず、“ダメ映画”“おバカ映画”として冷遇されている恵まれない映画たちの救済に立ち上がる。題して「神崎将臣のMOVIE AID」。
「サイン」(2002年・アメリカ)上映時間107分
監督・脚本:M・ナイト・シャマラン、製作:M・ナイト・シャマラン、フランク・マーシャル、サム・マーサー、製作総指揮:キャスリーン・ケネディ、撮影:タク・フジモト、音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード、美術:ラリー・フルトン、編集:バーバラ・テュライヴァー、衣装デザイン:アン・ロス、出演:メル・ギブソン、ホアキン・フェニックス、アビゲイル・ブレスリン、チェリー・ジョーンズ、M・ナイト・シャマラン、パトリシア・カレンバーほか
デビュー作「シックス・センス」('99年)でいきなりアカデミー監督賞にミネートされ、続く「アンブレイカブル」('00年)も連続ヒット。カレー出国インドから彗星のごとく現れた若き才能には、“ハリウッドの救世主”との評価も。脚本・監督、そしてカメオ出演というヒッチコック方式を踏襲したサイコ・サスペンスでわずか2作で独自の地位を築いたM・ナイト・シャマラン監督。
この作品では、主役をMr.ダイハード、ブルース・ウィリスからメル・ギブソンに変えてのホップ・ステップ・ジャンプで、まさにリーサルな評価の高みにまで登り詰めようという計算があったのかは不明。でも、脚本料が1000万ドルだったとかいう噂を聞くと、このビジネスに関わった人たちの彼の才能に対する期待は、相当なものだったという雰囲気は十分にうかがえる。
そして映画が完成。いざ幕を開けてみると、「予兆(サイン)ばっか見せられて、いきなりオチかよ」、「宇宙人がショボすぎ」、水が弱点の宇宙人に対して「彼らは地球には雨が降るということを知っていたのか?」など、大きな疑問から小さな疑問までが渦巻くミステリー・サークル状態に。
「シックス・センス」や「アンブレイカブル」では見事にキマッた、得意のどんでん返しパンチ力も弱く。彼はこの映画で、“長所は裏を返せば弱点になりうるという”というどんでん返しのルールを身をもって証明するという結果となってしまった。はたしてこの映画は、M・ナイト・シャマラン監督の才能の限界を示したサインだったのか? Mr.MOVIE AID MANはこの映画に対してどんなシックス・センスを感じているのだろう?
「ザ・メキシカン」(2001年・アメリカ)上映時間123分
監督:ゴア・ヴァービンスキー、製作:ローレンス・ベンダー/ジョン・バルデッチ、共同製作:ウィリアム・S・ビーズリー、製作総指揮:ウィリアム・タイラー/クリス・J・ボール/アーロン・ライダー/J・H・ワイマン、脚本:J・H・ワイマン、撮影監督:ダリウス・ウォルスキー 、音楽:アラン・シルベストリ、出演ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツ、ジェームス・ガンドルフィーニ、ジーン・ハックマンほか
監督はCM界の鬼才として知られ、「マウス・ハント」('97年)で華々しくハリウッド・デビューを飾った当時新進気鋭のゴア・ヴァービンスキーということはさておき、「ジョー・ブラックをよろしく」('98年)や「ファイト・クラブ」('99年)などで大看板登りつめたブラピと、「エリン・ブロコビッチ」('00年)でアカデミー女優の仲間入りをはたしたジュリア・ロバーツの共演……ということになれば、映画好き、またはブラピやジュリロバのファンなら誰でも"見ておくべき!"と思ったのは当たり前の心理だろう。もちろん映画の前宣伝もそんな理由から、まさに気合い入りまくりだったわけだ。
しかし、公開後観た人からシビアな指摘の雨あられ。「それだけのキャストを使ってこんな映画を作ってどうする」、「2人の共演が話題なだけで内容は薄い」、「キャストはA級、ストーリーはB級」などなど、みなさんかなりご不満の様子。その最大の原因は、2時間以上のストーリーの中で2人が直接絡むシーンが15分もなかったという内容に、期待して見た人たちのほとんどが肩が脱臼してしまうくらいの肩すかしを食らったという事実だった。ただし、それでも話がおもしろかったら結果オーライなのだが、伝説の銃「ザ・メキシカン」にまつわる伝説の下りが黒澤明監督の名作「羅生門」よろしく3回もくりかえされたあげくに、「羅生門」ほどの意外性もないという盛り上がりに欠ける展開にはみんなウンザリだった。かくして「これは共演と言えるのか?」という根源的な疑問も多数投げかけられる中、間が悪いことに同じ年に"これぞビッグ・スター共演映画のお手本"ともいえるヒット作「オーシャンズ11」が公開されてしまったがために、この映画は記憶に残らない作品群の中に埋没していくという不幸な運命を辿ったのだった。
一方、「Mr.&Mrs.スミス」の共演をキッカケに恋に落ち、2人の間の子供を出産間近と伝えられるアンジェリーナ・ジョリーの例を考えると、もしこの映画でのブラピと、共演者食いとして知られたジュリロバとの共演時間がもっと長かったら、2人は恋に落ちていた可能性もなきにしもあらず。さて、映画の鍵となっていた呪われた名銃同様、まさに呪われた宿命を背負ったこの映画に、"MOVIE AID MAN"神崎将臣はどんな厄払いを行ってくれるのだろうか?
「ナチュラル・ボーン・キラーズ」(1994年・アメリカ)上映時間119分
監督:オリバー・ストーン、製作:ジェーン・ハムシャー 、ドン・マーフィー 、クレイトン・タウンゼンド、製作総指揮:アーノン・ミルチャン、トム・マウント
原案:クエンティン・タランティーノ、脚本:デイヴィッド・ヴェローズ 、リチャード・ルトウスキー、オリヴァー・ストーン 、撮影:ロバート・リチャードソン、音楽プロデューサー:トレント・レズナー、美術:ヴィクター・ケンプスター、編集:ハンク・コーウィン 、ブライアン・バーダン、衣装デザイン:リチャード・ホーナング
出演:ウディ・ハレルソン、ジュリエット・ルイス、ロバート・ダウニーJr、トミー・リー・ジョーンズ、トム・サイズモア、デイル・ダイ、プルイット・テイラー・ヴィンス、マーク・ハーモン、デニス・リアリー、エヴァン・ハンドラーほか
原案はアカデミー脚本賞のクエンティン・タランティーノ。監督はアカデミー監督賞のオリバー・ストーン。その上、出演はウディ・ハレルソン、ジュリエット・ルイス、ロバート・ダウニーJr、トミー・リー・ジョーンズと、アカデミー受賞もしくはノミネート歴のあるそうそうたる顔ぶれがそろう。
52人を殺害したという殺人カップルの実話に基づいたタランティーノのアイデアを、「プラトーン」、「JFK」、「7月4日に生まれて」など問題作をつぎつぎと世に送り出すストーン監督が映画化……ということで公開時は、誰もが注目する話題作だった。
しかし、その内容は「なんとなく消化不良」、「監督の意欲が空回り」、「実験的なカット割りがスベっている」、「話がダレる」、「実話なのにリアリティーが感じられない」などなど予想外の悪評判。しかも、原案のタランティーノさえもその出来映えに目が点になってしまい、「もう二度とストーンとは組まない!」と言ったとか言わないとか。というわけで名作、ヒット作を連発する誉れ高きストーン監督の作品の中では、最低レベルの地位に甘んじる寂しい結果となっている。
やはり派手な暴力描写や、あえて荒れた画像やアニメ画像を挿入したりというおなじみタランティーノ流のアイデアを、社会派ストーン監督がうまく表現できなかったということなのか? はたまた2人のコラボはミスマッチだったのか?
さてここで、「ヤングチャンピオン」(秋田書店)に「イかせて!!バンビーナ?」の連載も好評の巨匠神崎将臣こと“MOVIE AID MAN”、ご登場願います〜。
「CASSHERN」(2004年4月24日公開・日本)上映時間 141分
監督・企画・脚本・撮影監督・編集:紀里谷和明 、プロデューサー:宮島秀司、小澤俊晴、若林利明 、原作:竜の子プロダクション、脚本:菅正太郎、佐藤大 、撮影:森下彰三 、美術:林田裕至 、衣装:北村道子 、VFXスーパーバイザー:木村俊幸、野崎宏二
出演:伊勢谷友介、麻生久美子、寺尾聰、樋口可南子、唐沢寿明、小日向文世、及川光博、寺島進、大滝秀治、三橋達也、宮迫博之、佐田真由美、要潤、西島秀俊ほか
原作は'73年10月〜'74年6月までオンエアされ、いまだにカルト的な人気を持つTVアニメ「新造人間キャシャーン」。それを妻である宇多田ヒカルのプロモーション・ビデオなどでの映像感覚が高く評価された新進気鋭の映像クリエーター紀里谷和明が、実写版映画として製作、監督デビュー。しかも、制作費は6億とも10億とも言われ、寺尾聰、唐沢寿明、麻生久美子、寺島進、大滝秀治、宮迫博之といった名優たちが大挙出演ということで、公開前は各メディアでの注目を集めた作品だったのだが……。
プレビュー後の評価はではその勢いがイッキに失速し、作品評も腫れ物に触るような歯切れの悪さでなんとなく腰が引けている感じ……と思っていたら、公開された後には出るわ、出るわ悪評の数々。
オリジナル・アニメ・ファンからは「ストーリーも映像も原作をデフォルメし過ぎだ」というクレームが寄せられ、原作を知らない人からも「ストーリーがよくわからない」、「上空の神像はなんなの?」、「人間が出ているアニメ映画じゃん」とかいった不評の十字砲火を浴びて、天才という呼び声の高かった紀里谷氏の名声は風前のともし火。はたして紀里谷氏は映画監督として汚名挽回のチャンスは巡ってくるのか? 一部では2004年度の日本映画ワースト作品に上げられているこの映画に救いの手をさしのべられるのは、もちろん映画愛に生きる男"MOVIE AID MAN"神崎将臣しかおりません。
「宇宙戦争」(2005年・アメリカ)上映時間 114分
監督:スティーヴン・スピルバーグ、製作総指揮:ポーラ・ワグナー 、原作:H・G・ウェルズ、
脚本:デヴィッド・コープ、ジョシュ・フリードマン 、音楽:ジョン・ウィリアムズ、
出演:トム・クルーズ 、ダコタ・ファニング 、ティム・ロビンス 、ジャスティン・チャットウィンほか
原作はH・G・ウェルズのSF小説 「The War of the Worlds」(1898年)。そして、古典SF映画の名作「宇宙戦争」(1953年)のリメイク。
スピルバーグ映画史上最高額の製作費1億3300万ドル(約138億円)。トム・クルーズと天才子役ダコタ・ファニングとの初共演・・・など
話題性は十分で、6月29日の公開初日の動員記録や、封切5日間の動員&興行収入で新記録を樹立、と出だしは絶好調だった「宇宙戦争」。
しかし、封切り後映画を観た人から多くのツッコミが寄せられた。いわく、「セレブ顔のトムはとても港湾労働者には見えない」、「いか
に極限状態にあったとしても、出演者たちの突飛な行動は理解の範囲を超えている」など個々の指摘から、「宇宙人の攻撃の描写がメイン
の前半からトムの家族愛の復活がメインになる後半への展開は、ストーリー的にテンションが下がる」、「宇宙人が滅亡した原因を映像
でなくナレーションで明かすエンディングには失望」・・・など、脚本や映像作りの根元的な問題まで激しく攻撃される始末。
さすがのスピルバーグ監督もその才能にクエスチョン・マークが投げかけられ、加えてトムの奇行問題が噴出してトムの人気は急降下で、
スピルバーグ印映画とトム=スピ・コンビ滅亡の危機を迎えいる昨今。さて、我らが“MOVIE AID MAN”こと神崎将臣は、ハリウッド映画
の至宝といえるこの2人のピンチをどう救うのか?